ローマ教皇フランシスコは1日、日曜日恒例の「お告げの祈り(アンジェラスの祈り)」で、ルクセンブルク大司教で元上智大学副学長のジャンクロード・オロリッシュ大司教(61)を含む13人を、新枢機卿に任命すると発表した。10月5日に行われる枢機卿会議(コンチストーロ)で正式に叙任される。
オロリッシュ大司教は1958年、ルクセンブルク生まれ。ローマの教皇庁立グレゴリアン大学卒業後、イエズス会に入会。85年に来日し、上智大で日本語を学ぶ。その後ドイツに渡り、90年に司祭叙階。ドイツ語やドイツ文学などを学び、94年に上智大外国語学部ドイツ語学科講師就任。99年に同学科助教授、2006年に同教授となった。同大では、ドイツ語学科長、カトリックセンター長、ヨーロッパ研究所所長、副学長(学生総務担当、学術交流担当)などを歴任した。
11年にルクセンブルク大司教就任。欧州においても要職を歴任し、昨年には欧州連合(EU)カトリック司教協議会委員会(COMECE)会長に選出された。
オロリッシュ大司教は1日午後、休暇先のポルトガルでバチカン放送(英語)の電話取材に応じ、「日曜日午前に(ミサを終え)教会を後にすると、お祝いのメッセージを頂くようになりましたが、(最初は)なぜだか分かりませんでした」と当時の様子を語った。
枢機卿任命の知らせを受けた後、最初に思い浮かんだのは、その日のミサで読まれたルカによる福音書14章7~14節だったという。招待されても、上席ではなく末席に座り、謙遜に振る舞うようイエスが戒める箇所で、「この福音の言葉に常に耳を傾け、枢機卿として、教皇に、教会に、そして神の教会を形成するすべての男女に対し、真に仕える者となれるよう願っています」と語った。
今回任命された新枢機卿13人のうち、教皇選挙(コンクラーベ)で投票権のある80歳未満は10人。13人が叙任されると、枢機卿の総数は215人、内80歳未満は118人となる。
新枢機卿に任命された13人には、オロリッシュ大司教の他に、教皇庁諸宗教対話評議会議長のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット司教(67)、バチカン文書館・図書館長のジョゼ・トレンティノ・メンドンサ大司教(53)、インドネシア・ジャカルタ教区のイグナツィウス・スハリョ・ハルジョアトモジョ大司教(69)らがいる。
地域別では、欧州出身者が9人で最も多く、中南米2人、アジア1人、アフリカ1人だった。年齢別では、バチカン文書館・図書館長のメンドンサ大司教が53歳で最も若く、50代が2人、60代が5人、70代が3人、80代が3人だった。
枢機卿は教皇の最高顧問で、カトリック教会において教皇に次ぐ地位にある。重要な案件について教皇を直接補佐する枢機卿団を構成するほか、個々の枢機卿はカトリック教会全体に関わる日常的な職務について教皇を助ける。バチカン(ローマ教皇庁)の要職も、多くは枢機卿が担っている。選出は教皇自身が行い、任期はない。昨年は、カトリック大阪教区の前田万葉大司教(70)が、日本人6人目の枢機卿として叙任されている。