20日からドイツ南部リンダウで開催されていた世界宗教者平和会議(WCRP)の第10回世界大会が23日、閉幕した。世界125カ国から宗教者ら千人以上が参加。日本からは、WCRP日本委員会理事長の植松誠・日本聖公会首座主教ら40人が参加した。閉会式では、新事務総長の選出も行われ、エジプト出身で国連人口基金(UNFPA)社会・文化開発シニアアドバイザーのアッザ・カラム氏(50)が、女性として初めて選ばれた。
大会テーマは「慈しみの実践:共通の未来のために―つながりあういのち」。全体会議や分科会、特別セッションなどのプログラムを通して、紛争後の赦(ゆる)しと和解、宗教間対話・協力、移民・難民問題、家庭内暴力、環境問題など、多岐にわたる課題について意見を交換した。4日間の開催期間中、毎日行われた全体会議では、宗教者の行動指針となる「アクションポイント」が示され、「共通の行動」として採択された。
21日には、参加者が会議会場から近隣の公園まで平和の行進を行い、地元市民も参加する式典を開いた。最終日23日の閉会式では、さまざまな提言を基に起草された「大会宣言文」が読み上げられ、満場一致で採択。宣言文は、「暴力的紛争の防止と変容」「公正で調和のある社会を促進する」「持続可能で不可欠な人間開発と地球保護」の3つの大きな項目を掲げ、女性への暴力撲滅や、移民・難民との共生、核兵器の廃絶、気候変動への対処などに、宗教者として力を注いでいくことを表明した。