世界教会評議会(WCC)は11日、10日に発生したエチオピア航空機の墜落事故で亡くなった157人の中に、スタッフのノーマン・テンディス氏(51)が含まれていたことを受け、スイス・ジュネーブにあるWCC本部の礼拝堂で追悼礼拝を行った。ティンディス氏は、オーストリアのルーテル教会の牧師でもあった。
エチオピア航空のボーイング737MAX8型機は、首都アディスアベバの国際空港から隣国ケニアの首都ナイロビに向かっていたが、離陸から数分後にアディスアベバ南東のビショフツ近郊で墜落し、乗客149人と乗員8人の計157人全員が死亡した。墜落の原因は今のところ不明だが、複数の航空会社は今回の事故を受け、同型機の運行を中止する決定を下している。
テンディス氏はWCCのコンサルタントとして、地球環境の改善に向けた諸教会による資源投入を支援する働きに就いており、ナイロビで11日~15日に開催される第4回国連環境総会(UNEA4)に向かう途中だった。総会では、これまでWCCの同僚らと取り組んできた「(教会やクリスチャン向けの)無駄のない生活環境」へのロードマップを提言する予定だった。
テンディス氏は小規模農業や倫理的投資、気候に優しい移住など、持続可能な生活スタイルを目指す活動の支援に取り組んでいた。
WCC総幹事のオラフ・フィクセ・トヴェイト牧師はこの日、墜落事故により持続可能な地球環境に尽力する多くの専門家を失ったと述べ、テンディス氏を含む事故の犠牲者全員に哀悼の意を表明した。
「私たちは墜落した航空機の搭乗者全員の死に対し、深い哀悼の意を表明します。ノーマン・テンディス氏を亡くしたことには、特に痛みを覚えます。テンディス氏は、経済と環境における正義の道を熱心に切り開いておられました。それはテンディス氏の積年の思いでありビジョンでした」
また、WCC副総幹事のイザベル・アパウォ・フィリ博士は、次のように述べた。
「ノーマン氏は有言実行の人でした。自教会と固い絆を持ち、深く献身しておられました。また、ご自分の経験やビジョンを世界中の教会に広く分かち合うことに腐心しておられました。テンディス氏の思いと情熱は、市場において、地域社会において、また国家間において、そして地球において、各教会がいかにして経済的生態学的正義に貢献できるかということに向けられていました」