ニュージーランド聖公会が、1800年代に強制的に行われた土地の譲渡をめぐり、同国の先住民であるマオリ族に謝罪した。
謝罪を受けたのは、ニュージーランド北島の都市タウランガ周辺に住むマオリ族の部族(イウィ)である「タウランガ・モアナ」に属する「ヌガティ・タプ」と「ヌガイ・タカラワホ」の2つの準部族(ハプ)。この2つの準部族は当時、約540万平方メートルの土地を英国教会伝道協会(CMS)に委託していた。ところが1866年、土地は英国王に譲渡されてしまった。
ニュージーランド聖公会の機関誌「アングリカン・タオンガ」(英語)によると、今月1日に行われた礼拝の中で、ヌガラフ・カテネ主教とフィリップ・リチャードソン大主教が謝罪文を読み上げた。2人は同聖公会の重鎮で、カテナ主教はマオリ語で、リチャードソン大主教は英語で読んだ。その後、リチャードソン大主教がひざまずきながら、証印した謝罪文を両準部族の長老に手渡した。「2人の主教は頭を下げ、謝罪した」と同誌は伝えた。
「まさしくCMSは英国王からの耐え難い圧力に屈服し、土地を売り渡しました。しかしその土地は、CMSが売却したり譲渡したりできるものではありませんでした。それにもかかわらず、その土地は奪われ、永遠に失われてしまいました。そして2つのマオリ族の準部族は貧困に陥りました」
ワイアプ教区のアンドリュー・ヘッジ主教は「(礼拝に集ったニュージーランド聖公会の一同は)ニュージーランド聖公会の主教と聖職者、および信徒を代表し、本日悲しみを表明します」述べた。
「私たちは深い悲しみのうちに集っています。過去の出来事が幾世代にもわたって影を落とし、不正と論争の遺産を残しました。私たちは、この悔い改めの行為がこの国全体に和解の光を輝かせることを期待しています」
この謝罪は今年5月の教会総会で決議され、ヘッジ主教はその際、「これまでに体験したことのない明確さで、悲しみが心に押し迫ってきた」と述べていた。