今日は、前回予告させていただいたように、皆さんへの質問から始めさせていただきます。用意した質問は2つです。
まず、第一問です。あなたはある日、ATMコーナーで並んでいました。目の前には見知らぬ男性が・・・。しばらくすると、その男性がATMの前を離れて、去ります。ついに、あなたの番です。
さて、機械に近づくと、何と現金が手つかずで、置きぱっなしに。はい、ここで質問です。あなたなら、どうしますか?選択肢は2つでしょうね。
1)すぐに振り返って、さっきの男性に「あっ。お金、忘れてますよ」と伝える。2)何もないごとく振る舞って、黙っている。帰り際、あの現金をあたかも自分のモノであるかのように、鞄にしまってATMコーナーを出る。
はい、どちらでしょうか?自分のものではない現金に対する対応、選択を問われるこの質問によって、皆さん自身がどういう人間なのか、自分でチェックできるわけですね。もしかしたら、「えーっ!俺って、こんな人間なんだ。いかんだろ、こんなこと考えたら」と思われる方もいるはずです。
(これは、篠原がつい最近目撃した出来事から作った質問です。篠原のそばにいたラーメン店の女性は、自分の番になって機械の前に立つなりすぐに、なぜか現金を忘れてATMコーナーを離れようとしていた男性に声を掛けていました。良いおばさんです)
はい、第一問は終わりました。第二問目があります。こっちがメインです。男性(皆さんは男性ですが、女性であり、しかも、その当事者の立場だったらどうするかと仮想してくださいね)と女性の皆さん。嫌な質問内容かもしれませんが、ご一緒ください。
あなたは女子高生です。あなたは新1年生です。憧れの高校に入学し、素敵な日々が始まる予感がしています。ピカピカの制服を着て、期待に胸はワクワク、桜舞う坂道をゆっくり歩きながら登校します。
あなたは、念願の「美術部」に入部します。顧問の先生は優しい美人、先輩たちは実力もあるし面白い人たち。一緒に入った同学年も良い子たちばっかりのようです。毎日、部室で楽しい時間を過ごしています。充実した、期待通り、いやそれ以上の高校ライフです。
絵を描くのが好きなあなたにとって、まさにこれ以上ない時間が過ぎていきます。そんなある日、急に、美術部に新入(あなたと同じく1年女子。クラスは別)が入部してきます。先生が、部員たちを集めて、彼女を紹介します。
丸顔でかわいらしい彼女は、ハキハキとユーモアセンスたっぷりに自己紹介。周囲の先輩たちや1年生部員、皆が彼女に興味津々で、彼女は一躍注目の的です。
でも、あなただけはずっと部室の床を直視しています。顔を上げることができません。呼吸が荒くなりかけています。今、誰かに話し掛けられたら、いつも通りには絶対に答えられないと思います。
そうです。あなたは気が付いてしまったのです。自己紹介する彼女の名前を聞いて・・・。そう、目の前にいる誰にでも笑顔を振りまくような八方美人的女は、「あのとんでもない男、あいつの娘なんだ!」と。
あいつです。忘れもしないあの憎い男です。あなたが、まだ小学生だった頃、あなたにいたずらをした(言うならばレイプです)あの男です。
部室の中、周囲はかわいい新入り部員を歓迎し、盛り上がっています。でも、あなたは気が狂いそうです。もう逃げ出したい。今にも、あの日のことがフラッシュバックして襲ってきそうです。
あなたは、隣にいる同級生部員には気付かれないように、顔を上げ、あの新入り部員を睨みつけます。「あいつの娘。あいつの娘なんだ。あの女は!」。どす黒いような感情があなたの中に渦巻き出します。
はい、ここで質問です。皆さんならどうしますか?すぐに考え直して、「親父は親父。彼女は彼女。娘である彼女は、関係ないんだから」と言って、割り切って考えて、彼女と普通に仲良くなりますか?
それとも、いじめる?絶対に話さない。彼女が声を掛けてきても100パーセント無視する。裏では、悪口を言いまくります?もしくは、冷酷な最終手段に打って出ますか?
わざと最初は親切にしてあげる。新入りの彼女に声を掛けてあげ、いろいろ教えてあげる。そして、仲良くなっておいて、今だというタイミングで放課後の教室にある日呼び出す。笑顔で「いいこと教えてあげるね。親友のあなただけだから。2人だけの秘密にしてね♪」と切り出して、すぐに黙る。
不審がって声を出そうとする彼女。そこで、今まで向けたことがなかったような最高に冷酷な視線を向け、死刑判決のような一言、「実はね、あんたのお父さんを知ってるんだ。あんたのお父さんはね、私がまだ小学生の頃・・・何も分からない私をレイプしたんだよ!!」といきますか?
はい、実はこれ、ある小説の中で主人公が味わう究極の苦しみ、悶(もだ)え、葛藤なんです。『雪のアルバム』(三浦綾子著)の中で、主人公の浜野清美は、大きな苦しみに遭い、言いようもない葛藤を味わいます。
彼女は小学生の頃、家によく出入りしていて、信用し切っていた男性から犯されてしまいます。大きな肉体的な傷、心の傷を負いながらも成長し、彼女は高校生になります。そして、美術部に入るわけですね。
ある日、同学年の女の子が入部してくるわけです。その子は、自己紹介で「加奈崎野理子」と名乗ります。その時、清美は気付いてしまいます。目の前の「ノリコ」という同学年の女の、住所、そして姓。間違いない。あの加奈崎盛夫の娘です。
それからの清美は、大変です。加奈崎野理子の存在ゆえに苦しみ出します。葛藤の日々、暗黒の高校生活に突き落とされます。
野理子の顔を見るのが嫌です。野理子を暗い世界へいかに落としてやろうかと考えるような、暗い暗黒の世界に清美自身が落ちていくのです。そのうち、大好きだった絵がキレイに描けなくなります。
その上、先輩からは「絵が汚くなった」というようなことを、ズバッと言われてしまう。でも、誰にも自分の生い立ちや葛藤は打ち明けられない。清美は苦しみます。そして、清美が最後にとった方法、手段とは・・・。
詳しくは、『雪のアルバム』を読んでみてください。名著中の名著です。
最終的に、清美がどのように決断し、野理子に向かっていくかはさておき、男性&女性の皆さん、あなたならどうしますか?
選択肢を4つにしてみます。
1)「彼女が悪いわけじゃないんだから」と考えて、すぐに彼女に近づき、普通に同級生として仲良くなる。(おそらく、こんな人いないでしょうね)
2)赦(ゆる)そうと努力する。顔を見たくないし、近づきたくもない。自然と体が彼女を避けてしまう。それでも、心の中では「赦そう。赦してあげよう」と自分をいさめて、彼女と仲良くなれるように努力し続ける。
3)何も言わずに、とにかく無視する。声を掛けないし、返事もしない。彼女のいない所では、彼女の悪口を言いまくる。いじめて、あいつとあいつの娘に復讐する。
4)究極の復讐計画に打って出る。最初は声を掛け、親切にしてあげて、仲良くなる。そして頃合いを見て、「ねぇ。あなたのお父さん、〇〇という名前でしょ。・・・やっぱり。実はね、私、あなたのお父さんのことをよく知ってるの。だって、あなたのお父さんは、私が小学生の頃、私のことを・・・レイプしたのよ!そう、お前は強姦魔の娘なんだよー!」と暴露する。
「えっ?なんで犯された時点で親に言うなり、警察に行かなかったの?私(俺)なら、犯された時点でそうする」と言わないでくださいね。清美には清美なりの事情があります。「そいつに犯された事実を学校中に触れ回り、彼女は強姦犯の娘なんだと言い広めて、彼女が登校できないような環境にしてやればいいじゃん。そうなるでしょ」も無しです。
自分が犯された当の本人です。自分は犯されたという過去の事実が親友や同級生、先輩、先生たちに知れ渡り、そういう目で見られるようになるかもしれません。しかも、本当に大事な男友達にも知られてしまうのです。この方法は、当の本人なら絶対無理なはずです。
皆さんは、1から4、どれを選びましたか?人間的に考えて、「当然、復讐するね」と思われる方が多いはずです。1や2を選択する、選択できる人は少ないはずです。
でも、ここで大事なことなのですが、キリストの神様は一貫して「復讐してはいけない!」と命じておられるお方なんです。「はぁぁぁー!?あり得ないっ!」と思われるかもしれません。「復讐すんな?オレの受けた傷はどうなるんだよ!アイツらは、そのまんまでいいのかよ?」と思われる方もいるでしょう。
でも、ありがたいのは、キリストの神様はこうも教えてくださっているわけです。「わたしが復讐してやるよ。復讐は、お前がしないでいいよ。わたしがちゃんと復讐してやるよ」 。皆さん。キリストの神様はそのようなお方です。
キリストの神様は、皆さんを今も愛していて、正義をなしてくださり、不正を憎まれ、公平をなされるお方なわけです。ナヨナヨとした弱ったらしいお方ではありません。十字架にかかりっぱなしで、苦しみ続けているお方でもありません。
「復讐するな!」とハッキリ宣言されるお方であり、そして、「復讐は、わたしのすることだ」とも言ってくださる力強い公正で義なるお方です。
キリストの神様が、どう命じておられて、どのようなお方なのか分かっていただいた上で、終わりに向けて一気にいきますね。ここからは、人間関係の話です。
皆さん。兄弟関係、姉妹関係ってめちゃくちゃ難しくないですか?一人っ子の方には分かってもらえないと思いますけどね。一人っ子の皆さんは、「あぁ。弟か妹、ほしいなぁ」と思ってこられたでしょうし、今もそう思っているかもしれません。でも、いろいろ大変ですよ!
それから、親子関係も難しいですよね。「親の心子知らず」といいます。また、夫婦関係も難しいものであるはずです。篠原は、まだ結婚はしていないですけど、もう分かってます。
まぁ、とにかく言えることは、人間関係は難しいものですが、何より家族関係は特に難しいってことですね。おそらく、兄と弟、姉と妹、これらの関係なんてかなり難しいんじゃないですかね。
映画「ジオストーム」(2017年に米国で公開。ジェラルド・バトラーさん主演)では、兄と弟の難しい関係が描かれていますよ。邦画である「犬猿」(2018年2月公開。窪田正孝さん、新井浩文さん、江上敬子さん、筧美和子さん出演)では、相性が最悪の兄弟1組、姉妹1組が出てきます。
「ジオストーム」の方では、兄弟の絆が回復し、仲直りして幸せなハッピーエンドですが、「犬猿」の方は、最後まで兄弟1組&姉妹1組は犬猿状態です(あれ、仲良くなったかなぁと思わせるのに・・・)。
とにかく、姉(妹)との関係って難しくないですか?また、兄(弟)との関係って、かなりややこしくないですか?あと、父(母)との関係、息子(娘)との関係、奥さん(旦那さん)との関係、姑(しゅうと)との非常に難しい関係・・・。
でも、「難しい、難しい」と悲観的にするのが百人一読ではありませんし、愚痴サイトでもありません。話の方向性はちゃんと変えます。
映画「羊と鋼の森」(2018年6月公開。山崎賢人さん主演)を見られた方はどれくらいいるでしょうか?この映画の中でピアニスト姉妹が出てきます。佐倉和音&由仁姉妹(双子)です。
実際に、本当の姉妹である上白石萌音さん(和音役)&上白石萌歌さん(由仁役)が演じるわけですけど、高校生ピアニストの2人は、性格も違うし、生き方も違う。そして、姉妹たちはすれ違うわけですね。
最後の方で、姉妹のうちの一方が大きな決断をします。自分は彼女を「助ける道」を生きていこうと。姉・和音と妹・由仁のどちらがそのような決心をするのかは、DVDをレンタルして確認してみてください。
とにかく、姉妹のどちらかが、どちらかを全力で支えていくことを生き方として選ぶわけです。そんな姉妹関係もあるのですね、ただし映画の中の話ですが。
それから、映画「空飛ぶタイヤ」(2018年6月公開。長瀬智也さん主演)では、非常に良い奥さんが出てきていました!主人公・赤松徳郎(長瀬智也さんが演じます)の奥さん赤松史絵(深田恭子さんが演じます)がメチャクチャ良い嫁さんなんですね。結婚すんならこれくらいの人がいいでしょうね。
ピンチの夫に対する発言。冒頭の方だけを聞いて、「うわっ!最悪の女やなぁ」という感じのことを思っちゃうんですけど、最後まで聞いて感動です。「スゴイなこの女性は」と。とにかく良い奥さんで、良い母親です(これもあくまで映画の中の話です)。
映画の中の良い姉妹関係、良い奥さんをご紹介しましたが、実際問題として家族の問題って後回しにしていませんか?また、こじれたまんまになってしまってはいませんか?
友人関係や仕事関係でトラブルがあったり、問題があるとすぐにでも解決に動き回るのに、家族の問題、家庭のトラブルは放ってないですか?家族のどなたかを恨んだままになっていませんか?家族や親戚のどなたかに対して復讐心を抱いてはいませんか?
でも、世界のベストセラー聖書は、先にご紹介したように「復讐するな」と、また家族を大切にするようにと教えています。イエス・キリスト様の12弟子の一人ペテロ。有名ですよね。実は、あのペテロにアンデレという弟がいました。
で、結論から言いますと、アンデレの方が最初にイエス・キリスト様に出会った。で、アンデレはすぐに何をしたか?それは、すぐに兄ペテロにイエス・キリスト様のことを伝え、彼をイエス・キリスト様のところに連れて行っているんですね。良い弟です。良い兄弟関係です。これは、映画の中の話でなくて、実話です。
それから、キリストの神様って、憎むお方でもあるんです。確かに、愛なるお方で、今もあなたを愛してくださっています。でも、このお方は、同性愛や同性婚、婚前交渉や殺人や盗みを憎まれます。とにかく、罪を憎むお方なのです。
そして、聖書のある箇所に、キリストの神様が、あるモノを憎んでいるとハッキリと書かれているわけです。それは、「兄弟の間に争いを引き起こす者」であるわけです。逆に言えば、兄弟の間に一致(愛)をもたらすならば、キリストの神様から報いを頂けるはずですね。
英国の著名な小説家、詩人であるウォルター・スコット。「この豊かな書物(聖書)には、奥義の中の奥義が存在する」(『100人の聖書』24ページ)。このように書かれています。まさに、そうです。世界のベストセラー聖書には、奥義の中の奥義が存在しています。
その奥義の一つが、「復讐するな」という教えです。そして、また「赦しなさい」という教え、「隣人を自分自身のように愛しなさい」という教え、「殺すな」という教えもあります。これらこそ、奥義の中の奥義です。
馬が合わない相手(弟、兄、妹、姉、父、母、しゅうと、姑、息子、娘)がいるでしょう。もしかして、上記の中のどなたかに復讐心を抱いている、または激しい怒り、憎しみを抱いているかもしれません。家族関係や親戚関係で泥沼に陥っている方もいるはずです。
でも、「赦して」あげて、「愛して」あげる。相手との間に平和を保つ。これこそ聖書が教える奥義の中の奥義です。それらが解決の鍵、解決の方法です。憎み続ける、復讐を計画することは、本当の解決に至る道ではありません。
ちょうど良いタイミングで、今週土曜日から三連休です。赦して、復讐心を捨て去って平和をつくるために、電話してみませんか?会いに行ってみませんか?そして、キリスト教会に一緒に行ってみる。最高ですね!
崩壊している兄弟(姉妹)関係を回復するチャンス、ダメになっている家族関係、親戚関係を修復できるチャンスです。おそらく、相手の方からは来ないでしょう。皆さんが相手を赦し、愛することから始まります。
(でも、なかなか赦せないはずです。それが当然です。だからこそ、クリスチャンになって、キリストの神様に助けてもらいませんか?クリスチャンになる方法は、シーズン1の100でご紹介しています)
この三連休、クリスチャンになってキリストの神様の助けを頂いて、家族の誰かと和解をしませんか?「犬神家の一族」のようになっているなら修復しませんか?また、久しぶりの親孝行をしてあげませんか?そして、日曜日は皆でキリスト教会にGOですね。素晴らしい三連休をお過ごしください。
最後に一つのお話を紹介して終わります。あるご夫婦がいたそうです。奥さんはオペレーターの仕事をしていました。でも、ある日から急に視力の衰えを感じ出しました。
病院で診察を受けると、「角膜炎」との診断結果。手術を受けることになりました。しかし、その手術中に医療事故が発生し、奥さんは完全に失明してしまいます。
当然ながら、奥さんは希望を失い、涙の日々。でも、クリスチャンであった彼女は祈ることによって勇気を頂いて、奮起するのです。
オペレーターの仕事なので、目を使う必要はない。だから、仕事を再開しようと決めます。それから、旦那さんが毎日職場まで付き添ってくれました。旦那さんは、半年も奥さんの出勤に付き添い続けました。そして、奥さんは1人でバス出勤ができるようにまでなります。
奥さんは1人で出勤するようになり、いつもバスの決まった席(運転手さんのすぐ後ろの席)に座っていました。そんなある日、バスの運転手さんが奥さんに話し掛けてきます。
「あなたは本当に幸せな人ですね!」と。奥さんは「なぜ私が幸せなんですか?」と質問しました。すると、運転手さんはこう答えたそうです。「毎日、あなたを見守る人がいるではないですか!」
「えっ?」と驚く奥さんに、運転手さんは言ったそうです。「知らなかったんですか?旦那さんが毎日あなたと一緒に乗り、あなたの後ろに座っていたんですよ。あなたがバスを降り、会社に入るまでを見届けて、またバスに乗って戻っていたのですよ」
奥さんは、初めて知ります。自分1人で出勤していたのではなかったことを。毎日旦那さんが一緒に出勤してくれていたことを。
美しい夫婦愛の物語です。この旦那さんのような夫、または妻、兄、弟、姉、妹、息子、娘、父、母でありたいですね。
次回の百人一読は、順番を無視しますので同志社大学の新島襄が登場します。さて、ふざけてはいませんが、1度も蚊に刺されたことのない人はいますか?蚊は、皆さんの味方、それとも敵ですか?無断で部屋に入ってくる蚊という生き物をどう思っていますか?次回は、蚊についても考えます!
*
【書籍紹介】
篠原元著『100人の聖書』
本書を推薦します!
「他の追随を許さない数と挿話」
――奥山実牧師(宣教師訓練センター[MTC]所長)
「牧師の説教などに引用できて便利」
――中野雄一郎牧師(マウント・オリーブ・ミニストリーズ)
「聖書に生きた偉人たちの画廊」
――峯野龍弘牧師(ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会)
ご注文は、全国の書店・キリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。
◇