オーストラリア・メルボルンにあるメガチャーチ「エンジョイチャーチ」で2月15〜17日、年次大会(サミット)が行われた。サミットでは、シェイン・ジョージー・バクスター主任牧師をはじめ、各地でリバイバルを生み出している多くの牧師たちが講師となり、次世代にどのように福音を届けるか、またそのような教会をどのように作り出し、継続させていくかについてメッセージを語った。
さらに、サミットに初めて参加した人の中からは、イエス・キリストの福音を受け入れ、救いへと導きが与えらた人が多く出た。実に参加者の3分の1がノンクリスチャンだったという。
世界各地から教会の牧師やリーダーなど2千人以上集い、遠い所ではベルギーやアルゼンチンからの参加者もいた。その中で特に注目を集めたのは、日本からの参加者。牧師と信徒合わせて20人以上が参加し、皆がそこで大きな刺激を受けて帰国した。
南半球に位置することから、メルボルンは極寒の日本とは対照的に晩夏の装いだった。日本から飛び立つときはジャンパーが必要だが、現地に着けばTシャツ1枚で十分。そんな気候の変化もまた、日本からの参加者には大きな刺激となった。
暑い地で行われる熱い大会。それがエンジョイチャーチ・サミットである。参加者の平均年齢は低い。なぜなら「次世代」にこそフォーカスされたサミットだからだ。参加者の声を幾つか拾ってみよう。
教会から参加したAさん(18)とKさん(21)
「大きさに違いこそあれ、同じスピリットがあると分かりました。私たちが次に進むための良き模範がそこにあると思いました。エンジョイチャーチのようなワーシップのレベルの高さ、雰囲気の良さに触れられたので、次は私たち日本の若者でこれを生み出したいと思いました」
「今回のサミットは、自分にとっても、教会にとっても、成長のきっかけを与えてくれる機会でした。『自分が誰であるかを知ることは、自分が誰かのようではないことを知ることだ』という言葉が響きました。自分が神様の目に尊く映っていること、愛されていることをあらためて知りました」
サミットで神様を信じる決心をしたK君(16)
「神様の元に行く決心ができました。イェイ!」
日本人牧師たちの声
「(エンジョイチャーチが目指しているものを)私たちも同じ視点で見ているのだと自信を持てました。さらにこれを推し進めていき、次の世代、また次の世代と、あらゆる世代の変化を通して日本を作り変えることができると確信できました」
「感動したことはたくさんありますが、最も大きな感動は『誰も1人にさせない(No one stands alone)』と繰り返されていたことです。教会の大小ではなく、どんな規模の教会であっても、それができるんだと分かりました。これを日本に帰って、多くのクリスチャン、教会に伝えたいです」
現在、エンジョイチャーチは世界各地で教会開拓に着手している。しかしそれは、世界に広がる「エンジョイチャーチ帝国」を建設するためではない。「メガチャーチ」と聞くと、どうしても日本のキリスト教界からは帝国主義的な福音宣教を思い浮かべる声が聞こえてくる。しかし、少なくとも彼らに限ってはそんなことはない。むしろ向かうベクトルはまったく逆である。「地域に仕えるため」「福音を通して日本人に寄り添うため」の働きと言っていい。
日本ではいよいよ、エンジョイチャーチ大阪が4月15日午後2時半の礼拝からスタートする。場所は、大阪市福島区にあるパインブルックリン。当日は何と、店のオーナーがボランティアでコーヒーを入れてくれるという。地域に密着した、ノンクリスチャンにとって敷居の低い教会(彼らの言い方だと「ポップアップチャーチ」)が実現しつつある。
エンジョイチャーチ大阪を担当する芳之内良太牧師は、2月からギャザリングと呼ぶ準備礼拝を開始しており、すでにその中で10人近くがクリスチャンとなっている。
「収穫は多いが、働き手が少ない。だから、収穫のために働き手を送ってくださるように、収穫の主に願いなさい」(マタイ9:37、38)
この御言葉にもあるように、若い世代へと目を向けることさえすれば、確実に彼らに福音は伝えられていく。そのことをエンジョイチャーチは身をもって教えてくれている。後は、この収穫を得るために働き手が本気になるかどうかである。
キリスト教界には、多くの教派があり、教えが存在し、そして教理が張り巡らされている。これをまったく無視することはできないが、教派や教理のために私たちは活動しているのではない。これらは福音宣教をスムーズに行えるよう「通り良き管」として用いられるべきである。
エンジョイチャーチの事例は、私たちに何を伝えてくれるのか。
「大きな教会ですよ」「こんなにすごい設備がありますよ」「若者たちがこれくらい集まってますよ」というような、そんな表面的なことではない。サミットの参加者の感想の中で「自分が誰であるかを知ることは、自分が誰かのようではないことを知ることだ」とあったが、まさに「私だからこそできる伝道」「私に任されたスタイル」を一人一人が模索し、それを実行していく気構えを示してくれているのだろう。
日本はクリスチャン人口が1パーセント未満だと言われて久しい。オーストラリアや西洋諸国と単純に比較しても、受けるのは劣等感と焦燥感だろう。
だが、エンジョイチャーチから私たち日本のキリスト教界(会)が真に受け取るべきは、それぞれの持ち場、立場で精いっぱい若い世代に向き合っていくことこそ大切なのだ、という古くて新しいメッセージではないだろうか。
この記事も、メガチャーチの単なる宣伝とは思わないでいただきたい。それでは「日本の宣教は難しい」と評論家よろしく分析してきた、今までの在り方と何ら変わらない。そうではなくて、このような外国のメガチャーチが私たちに示してくれることは、「私たちも神に愛されている民であるのだから、あなたの置かれた状況から、逃げないで、恐れないで、次世代に向かって一歩距離を縮める努力を始めよう」ということではないだろうか。
■ エンジョイチャーチ大阪
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