美術作品でクリスマスの喜びを伝える「万国橋・クリスマス祝展2017」が、横浜馬車道にある万国橋ギャラリー(横浜市中区)で開催中だ。
幕末の1858年、日米修好通商条約により横浜港が開港。外国人居留地だった関内まで、真っすぐに伸びる道が整備され、外国人たちはそこを馬車で移動していた。その物珍しい姿を人々は「異人馬車」と呼び、その道を「馬車道」と名付けたという。現在もなお国の重要文化財などが立ち並ぶこの地域は、異国情緒漂う街として有名だ。
万国橋ギャラリーは、そんな場所に画廊としてオープン。今年で33年目になる。オーナーの子安宏子さん(JECA本郷台キリスト教会会員)は言う。
「約150年前に医療宣教師だったヘボン博士をはじめ、多くの宣教師がここにやって来ました。熱心に伝道をする中、クリスマスの行事も行われたことでしょう。そこで、この同じ地で絵画を通してクリスマスのお祝いをしたいと思ったのです。しかし、初めてのことで、1人ではとてもできない。そこで、親しくさせていただいている建築家で造形家の棈木(あべき)勇さん(日本基督教団横浜指路教会会員)にご相談させていただいたのです。以前から棈木さんがクリスチャンだと存じ上げていたのですが、今回、ご一緒に企画や運営をさせていただく中で良いお交わりができ、本当に感謝なことです」
準備を始めたのは今年8月頃。作品を集めることから始め、最初は本当に集まるのかと心配だった。しかし、教会のメンバーに声を掛けると、快く作品を提供してくれる作家が現れた。さらに、その作家仲間の口伝えで情報が広がり、ふたを開けてみると、油絵、水彩画、書道、写真など、47作品が集まった。約半数がクリスチャンの作品だという。しかも、カトリック、プロテスタント各派と、所属教会は約15教会にのぼる。
「このような超教派の美術展は初めてです。私たちは同じ神様を仰いでいますから、教団・教派など関係ありません。『芸術作品は、人が決して言葉では言えない感動的な告白である』と、カトリック画家のジョルジュ・ルオーは語っています。ですから、今回ここに展示されている一つ一つの作品は、作家の魂の告白だと私は思っています。作品を皆さんに見ていただいて、キリストの降誕を喜び、神様に栄光をお返しする機会となれば感謝なことです」と棈木さん。
作品にはそれぞれ、作家からの写真入りコメントカードが添えられている。
「顔を見ることで、作品とともに心の交流の助けになれば」と棈木さんは話す。
9日には、関係者による「昼餐」も行われる。テーマは、「見よ、兄弟が共に座っている。なんという恵み、なんという喜び」(詩編133:1)。作家やその親族、友人など約70人が別会場で食事を共にするという。また、棈木さんによる「ルオーのキリスト像」と題したミニトークや、ソプラノ歌手によるクリスマスの賛美歌なども披露される。
「こちらも、何か導かれるようにトントン拍子で話が進みました。数人で食事をしようかと考えていましたが、多くの方々、また本郷台キリスト教会や指路教会の牧師も参加して、お祈りしてくださいます。クリスチャンではない方々も参加してくださいますが、本来のクリスマスの意味をご一緒に考える機会になればと思います。クリスチャンも、他教会のメンバーとクリスマスのお祝いをする機会は少ないのではないでしょうか。共に食事をして、兄弟姉妹との交流を深めていただければ」と子安さんは話す。
開催日時:12月5日(火)~11日(月) 午前11時~午後6時(最終日は午後5時まで)
入場無料
場所:万国橋ギャラリー
横浜市中区北仲通4-49 コアンドモンド馬車道2F
問い合わせ:045-201-8103