マイク・ペンス米副大統領は26日、米国が今後は国連を通さずに、イラクのキリスト教徒を直接支援すると表明した。迫害下にある信仰者たちに時間をかけてわずかな支援をする時代は「終わった」という。
ペンス氏によると、米国務省は今後、国連による「非効果的な」支援活動への資金提供を停止する。中東の宗教指導者から、現在の支援体制では現地の人々を十分に支援できないという声があるため、今後はキリスト教主義の支援団体などと協力して直接支援を送り届けるという。ロビー団体「IDC」(In Defence of Christians)の年次行事で語った。
「中東のキリスト教徒、また迫害されているあらゆる人たちは、米国が直接支援できる状況において多国籍機関に頼るべきではありません。ドナルド・トランプ大統領が米国務省に、国連の非効率的な支援活動への資金提供を停止するよう命じたことを今夜発表できるのは、私にとって喜ばしいことです。本日以降、米国は米国際開発庁(USAID)を通じて迫害下の信仰者たちに直接支援を提供することになります」
IDFの基調講演で話したペンス氏は、「最もか弱い人々を支援」できず、「無数の人々が被害を受けて不必要に苦しむ」ままにしているとして、国連を批判。バラク・オバマ前米大統領が中東への人道支援に10億ドル(約1140億円)余りを費やしたにもかかわらず、その資金がさまざまな国連のプログラムに送られてしまったと強調した。
「悲しい現実についてお話しましょう。国連は、160余りのプロジェクトがキリスト教徒の住む地域で実施されていると主張しています。しかし、これらのプロジェクトの3分の1は、キリスト教徒に役立ちません。イラクのニネベにいるキリスト教徒の住居不足は2パーセント未満しか解消されておらず、大多数のキリスト教徒やヤジディ教徒は、避難所に残されたままです。すでに終わっているはずのプロジェクトの成果は、使用不可能な建物の外に国連の旗が掲げられているだけです。その建物の大半は学校です」
「キリスト教主義団体は確かな実績を持っており、これらの地域に深く根を下ろしています。それらの団体は支援に対して非常に積極的である一方、国連はキリスト教主義団体からの資金援助要請を頻繁に拒否しています。皆さん、そのような時代は終わったのです」
ペンス氏はさらに、「迫害下のキリスト教徒や、テロ集団による大虐殺や残虐行為を受けている少数民族を支援するために、わが国はもはや国連だけに依存しません」と続けた。その一方で、国連のどのプログラムに対して資金提供を停止するかについては明言を避けた。
中東のキリスト教徒の厳しい状況に言及する中でペンス氏は、過激派組織「イスラム国」(IS)による犯罪が増大し、大虐殺(ジェノサイド)といえる規模に至っていることを強調し、米国による最大限の支援を約束。「トランプ大統領は、迫害下の人々が自分たちの土地を取り戻し、自宅に帰り、人生を再建し、伝統ある祖国に再び根を張れるよう支援を約束しています」と語った。
英国クリスチャントゥデイは、ペンス氏の発言について国連に問い合わせたが、国連の広報担当者からはコメントを得られなかった。