ジョージ・ワシントン(1732~99)。アメリカ合衆国の初代大統領です。彼の人物紹介は、この一言だけで十分ですよね。
1789年、大統領に就任する際の演説の中で、ワシントンはこのように祈っています。「この合衆国民の自由と幸せをどうぞ祝福してください。そして、この重要な目的のために私たちによって始められたこの政府を祝福してください」(『100人の聖書』93、94ページ参照)
今朝は、ワシントンの祈りに注目すると同時に、社会にはびこる「理不尽」というものに目を向けてみたいと思います。「理不尽」が、この世の中に満ちていると思いませんか。
「22年目の告白―私が殺人犯です―」(藤原竜也さん、伊藤英明さんのダブル主演映画)を見てきました。理不尽さを感じます。世間を震撼させた連続殺人事件。警察官を含む5人が犠牲になりましたが、警察は犯人をあと一歩というところまで追い詰めながらも逮捕できずに、結果として時効が成立してしまい、犯人は逃げ切ります。その時効成立後、なんと、その殺人犯を名乗る「ソネザキ」(曽根崎)という男性が告白本を出版し、マスコミの前に、いや世間の前に姿を現します。
自分を逮捕できなかった警察、また自分が殺した被害者たちの遺族を挑発するような真似をしながらも、ソネザキはサイン会に引っ張りだこです。理不尽だと思うのは、サイン会に若い女性たちがキャーキャー言って群がるわけですね。告白本も大ヒットするわけです。女の子たちが、まるでヒーローでもあるかのようにソネザキの等身大パネルをバックに「ソネ様」とか言いながら写真を撮るわけです。
一方で、家族を残虐な方法で殺害された遺族は、やりきれないわけです。自分たちは今なお苦しんでいる。でも、人殺しのアイツは、時効が成立したとかで堂々と出てきて、裁きを受けることもなく、告白本まで出している。
遺族たちは、理不尽な環境、やり切れない環境に置かれることになります。結果的に、どうにもやり切れない遺族の1人(女優の夏帆さんが演じます)が、警察が逮捕できないならばと、ソネザキを殺しにかかるわけです。
時効に限らず、ありとあらゆるシステムやルール、そして人間社会の決まり故に理不尽な目に遭っている人が、今日もどこかにたくさんいると思うのです。皆さんの中にも、そういう方がいるかもしれません。
しかしながら、今朝は、アメリカ合衆国初代大統領ワシントンの祈りに注目できればと思います。
今まさに、理不尽な環境の中にいるという人もいますよね。でも今日、理不尽に負ける前に、そして、理不尽の中で黙っているのではなく、また、理不尽に対して間違った対応をしてしまう前に、キリストの神様に祈ってみませんか。
自分を理不尽な目に遭わせてくる人のために。そして、自分が理不尽な目に遭っている環境、職場、場所が変わるように。理不尽さを嘆いて理不尽さの中をただ我慢するより、また、復讐を計画するよりも、静かに神に向かって祈る方がカッコいいのです。それが倍返しなのです。
どう祈るのでしょうか。つまり、ワシントン大統領が祈っているように、祝福をです。理不尽な目に遭わせてくる人や社会への呪いではなくて、祝福を願って祈るわけです。こんな祈りをすることこそ「理不尽だ!」と思われるかもしれませんが、逆にこんな祈りができるほど、自分が高められ、成長できたとも言えるようになります。理不尽に対し、その原因となる人たちの祝福を祈ってあげ、自分を理不尽さの中で高める、これこそ大人の倍返しです。(なかなかできませんが・・・)
今朝から、今から、キリストの神様に祈ってみませんか。そういう生き方を始めていきませんか。「理不尽」に対して「祝福の祈り」で返す。職場で、学校で、理不尽さに直面したときこそ、トイレや屋上に駆け込んで、キリストの神様に小声で祈って試してみてください。
「私を理不尽な目に遭わす◯◯さんを赦(ゆる)します。どうぞ、◯◯さんに祝福を。イエス・キリストのお名前によって祈ります。アーメン」
やり返すことや、呪いの祈りではなく、このような祝福の祈りが、相手をいつか変えて、そして自分も理不尽さに屈さずに、逆に高められ、一段階成長できたのですから、まさに倍返しです! ぜひ、篠原元にだまされたと思って、「理不尽」に「祝福の祈り」で返す倍返しライフ、始めてみてください。今日からあの人に、倍返ししてあげましょう!
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【書籍紹介】
篠原元著『100人の聖書』
本書を推薦します!
「他の追随を許さない数と挿話」
――奥山実牧師(宣教師訓練センター[MTC]所長)
「牧師の説教などに引用できて便利」
――中野雄一郎牧師(マウント・オリーブ・ミニストリーズ)
「聖書に生きた偉人たちの画廊」
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