心の病に関する啓発などを目的とする「世界精神保健デー」を盛り上げるため、英中部の都市コベントリーにある英国国教会の大聖堂で10月、5万匹の「ミツバチ聖歌隊」が参加するコンサートが開催される。
地元のコベントリー・テレグラフ紙(英語)によると、ミツバチたちは、大聖堂の敷地内に設置した巣箱から、ブンブンと羽ばたく音をライブストリーミングで流すことで参加する。コンサートの企画は、英国人アーティストのウルフギャング・バットレス氏が手掛け、これまでもミツバチと共演している楽団「BE」と、精神的な病を経験した、または経験している人たちで構成された聖歌隊が出演する。
ミツバチたちが発する音は、細かな振動も感知できる装置を使って捉え、大きなスクリーンには巣箱も映し出す。コンサート終了後も巣箱は大聖堂の敷地内に設置したままにされ、ミツバチたちは、植物の授粉を助けるという大切な役割を町の中心で果たすことになる。
コベントリー大聖堂の首席司祭であるジョン・ウィットコム牧師は、「私たちは、世界精神保健デーを祝うために、BEと、実にユニークなパフォーマンスになるであろう聖歌隊を迎えるのを楽しみにしています」とコメント。「ミツバチをメインにした演奏は大聖堂ではこれまで上演されたことはなく、私たちの催しの多様さを示すものです。大聖堂に、同じ教区に住んでいる5万匹もの『教区民』が参加してくれるのは素晴らしいことです。コンサートの後もずっと語り継がれるでしょう」と言う。
高さ17メートル、重さ40トンのアルミ製の「ハチの巣」も作品として手掛けているバットレス氏は、次のように話している。
「コベントリー大聖堂は、歴史的にとても重要で素晴らしい場所ですから、ここで演奏できることは名誉なことです。とても感動的で力強い演奏になるでしょう。大聖堂の敷地内のミツバチを使うというのは、今起きている実際の出来事であるという実感を聴衆たちに与えることができるのです。今年はもともと演奏する予定はありませんでしたが、世界精神保健デーを祝うコンサートに参加してほしいと依頼され、心が躍りました。今こうして貢献できるのは素晴らしいことだと思っています」
世界精神保健デーは10月10日だが、コンサートは7日午後7時半から行われる。
コベントリーは工業都市であることから、第2次世界大戦中は激しい爆撃を受け、町の象徴であったコベントリー大聖堂も破壊された。大聖堂はその後、新旧の建築物が見事に融和した大聖堂として再建され、平和と和解の象徴的存在となっている。