世界教会協議会(WCC)は6日、イザベル・アパウォ・フィリ副総幹事が、イスラエルの国益に反する活動をしているとして、同国から入国を拒否されたことに対して、「深い遺憾」の意を示した。
アフリカ東部の国、マラウイ出身のフィリ氏は5日、イスラエルのベン・グリオン国際空港から入国しようとしたが、拒否され追い返されてしまった。
ブレイキング・イスラエル・ニュース(BIN)は、今後、何千人もの活動家たちが同様にイスラエルから入国を拒否される可能性があると伝えている。
フィリ氏の入国拒否は、イスラエルのアリエ・デリ内相とギラド・エルダン公安相が、同国に対する国際的なボイコット運動「BDS」の支持者たちの入国を拒否し、既に国内にいる支持者らを強制送還する計画を発表した数カ月後に起こった。
フィリ氏は今回、WCCの活動の1つである「イスラエルとパレスチナおけるエキュメニカルな同行プログラム」(EAPPI)のエルサレムでの会議に出席する目的で、イスラエルに入国しようとしていた。イスラエル当局は、EAPPIを反イスラエルの活動だとみなしているという。
デリ内相はBINに対して、「フィリ氏のような活動家たちに入国許可を与えることは、実際には、彼女と仲間たちが前進させている不法な諸活動を強化することになるでしょう。私はそれに手を貸すつもりはありません」と述べた。
また、「私は、イスラエルへの危害を防ぐために、自分が用いることのできるどんな権限も用いるでしょう」とコメント。「ボイコットする人たちの拠点は国境の外にあります。私たちは、彼らが私たちの国に入るのを妨ぐために可能なあらゆることをし続けるでしょう」と語った。
WCCは、フィリ氏の入国拒否に対して異議を申し立て、「パレスチナ人とイスラエル人両者のために平和と正義を願うWCCの新しい取り組みに対するイスラエルの敵意を非常に遺憾に思います」と述べた。
WCCはまた、フィリ氏がWCCのスタッフ代表団の唯一のアフリカ人メンバーであり、ただ1人だけ入国を拒否されたことに言及した。
イスラエルは、フェリ氏の入国拒否の理由を「不法な入国の阻止」であったとしている。
WCCのオラフ・フィクセ・トヴェイト総幹事は、「フィリ氏の取り調べ中にWCCとEAPPIに対してなされ、今日、メディアに公表された非難は、全くの誤りです」と述べた。また、「私は、イスラエルの内相が明らかに不正確で、あてにならない情報源に基づいて決断を下したことに非常に驚き、がっかりしています」と語った。
EAPPIは2002年、エルサレムの教会指導者らの訴えに応える形で開設された。
エルサレムの教会指導者らは当時、書簡の中で、「(EAPPIが開設されれば)私たちは、イスラエル人とパレスチナ人の相互の信頼と安全を回復する援助をするために、全ての人々の保護を丁重に要請するでしょう。さらに、私たちは世界中の平和を愛する全ての人々に対して、来て、公正な和平のための活動に私たちと共に加わるよう呼び掛けるでしょう」と書いていた。
EAPPIには、アフリカやアジア、欧州、北米、中南米の教会、エキュメニカル団体、その分野に特化したミニストリーなど70以上が積極的に参加している。これまでに約1800人が参加し、現地の地域社会を観察し、助けるために、ヨルダン川西岸地区を訪れている。
なお、今年初めにも、数人のWCCスタッフと他の代表が、ベン・グリオン国際空港の警備員によって引き留められている。
英国国教会は公式にEAPPIを支持している。2012年の総会では、「EAPPIのボランティアとして奉仕するように信徒たちを励まし、諸教会と諸会議に参加者たちの経験を生かすように求める」動議を可決した。
しかしその数カ月後、新しく就任した現カンタベリー大主教ジャスティン・ウェルビー氏は、この動議への自身の支持に関して、イスラエルの地での生活の「複雑さを適切に熟考しなかった」と、遺憾の意を表明した。ウェルビー大主教は、もしその動議がイスラエルは「国際的に一致した境界内で安全、かつ平和に住む」権利を持っており、「その地方の人々は、誰であっても、正義、平和、安全への権利を持っている」と述べていたなら、その動議を支持したことで幸せな気持ちでいられただろうと語っていた。
英国クリスチャントゥデイは現在、ロンドンのイスラエル大使館にコメントを求めている。