インドネシアの首都ジャカルタで20日から27日まで行われたアジアキリスト教協議会(CCA)第14回総会では、22日に総会最初の主題講演として、世界教会協議会(WCC)副総幹事(公的証しと奉仕担当)のイザベル・アパウォ・フィリ博士(南アフリカ、アフリカ神学専攻)が、「神の家で共に生きる 神学的省察」と題して講演した。
フィリ博士は講演で、今総会の主題である「神の家で共に生きる(Living Together in the Household of God)」をより深く掘り下げて省察。「共に生きる」については、▼エキュメニカルに共に生きる、▼共に応えるために共に生きる、▼愛のうちに共に生きる、という3つの観点から、「神の家」については、▼私の文化的文脈、▼旧約・新約聖書の文脈、▼今日における神の家の課題、という3つの観点から論じた。
「実に、私は神の家にいます」と講演を切り出したフィリ博士は初め、今総会の受け入れ役である、インドネシアのバタック・キリスト教プロテスタント教会と、インドネシア教会共同体(PGI)からのもてなしと温かい歓迎に触れた。
フィリ博士は、この主題が持つ一つの面は「愛のうちに共に生きる」ことだと言い、「キリストに従う者である以上、私たちはお互いの話や課題、そして成功に耳を傾けなければなりません。私たちは共に生きることの一部として、自らの生活の中で、お互いに寄り添う必要があるのです」と語った。
一方、主題の中の「神の家」が持つ重要な面としては、エキュメニカル運動が、人種やカースト(ヒンズー教における身分制度)、社会的性別、エイズ、性的指向に基づく排除や差別をめぐって、諸教会の中における分断に対処することを余儀なくされていることに触れ、こうした状況にある今日、神の教会が直面している課題があると語った。
「一つの緊急な問題は、どうすれば私たちは『神の家』の中で、誰も疎外感を持たずに共に生きることができるのかということです。神の子たちは皆、神の愛をもって手を差し伸べられるに値するのですから」
フィリ博士はまた、「エキュメニカルに共に生きる」ことによって、キリスト者たちは、国際的で公的な場で力強い声をつくり出す一つの教会として、諸問題に共に応えることができると語った。
しかし、諸教会が常に合意するとは限らないことから、それはたやすいことではないだろうとフェリ博士は言い、例として女性に関する問題を取り上げ、「女性に対する暴力や教会における女性の参与の問題は、キリストの体に分裂を引き起こす問題です」と語った。しかし、フェリ博士は「諸教会がエキュメニカル運動において重要であり続けてきたのは、それらが依然として、神が正義である『神の家』における正義の問題を提起しているからです」と強調。「アジアにおける人身取引と女性に対する残虐な強姦(ごうかん)は、世界の他の地域と同様になくなってはいません。『神の家』からこの悪を一掃するために、今、これまで以上に、アジアの教会による、より調整された取り組みが必要なのです」と語った。
フィリ博士はまた、緊密な協力が緊急に必要な分野として、人類の消費パターンと地球の破壊のつながりを理解し関連付けることを挙げた。
フィリ博士は最後に、「神の家で共に生きるための正義と平和の巡礼」について述べ、それが、▼霊的である、▼文脈的である、▼変革的である、とした上で、CCAがソーシャルメディアを通じて、WCCが第10回総会で定めた「正義と平和の巡礼」に加わるよう呼び掛けた。
「正義と平和の巡礼」とは、「いのちの神よ、私たちを正義と平和へと導いてください」を主題に、2013年に韓国・釜山で開催されたWCC第10回総会以降において、WCCが加盟教会に参加を呼び掛けているもの。WCCはそれを、「共通の追求のうちに共に働き、正義と平和の最も重要な諸問題に対する協働による関与を通じて、教会が持つ真の使命を新たにし、紛争や不正義、苦しみに満ちた世界を癒やす」WCC加盟教会の構想だと説明している。