<本文と拓本>28文字(105+32=137)
令鎮化海渾元之性虗而不盈素蕩之心本無希嗜洎乎娑殫施妄鈿飾純精
<注>
令鎮化海は万物を鎮める。渾元之性は人のもともとの本性のこと。虗而不盈は空しく満ちず。素蕩之心とは邪気のない心のこと。本無希嗜は他に好むものはなかった。洎乎娑殫(シリア語のサタンの漢語訳)施妄はサタンは偽りを施して注ぎ。鈿飾は宝石などで身を飾った見せかけの姿。
<現代訳>
万物を支配されました。人の本性は悪に傾かず、純真な心は他のものを求めませんでした。ところがサタンは身を飾って惑わしました。
<解説>
ここは創世記3章前半の人の始祖アダムとエバが狡猾なサタンの惑わしを受けた部分の箇所です。娑殫(サタン)の漢訳はシリア語聖書からで、この用語は碑文以外にも出てきます。
※ 参考文献
『景教—東回りの古代キリスト教・景教とその波及—』(改訂新装版、イーグレープ、2014年)
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