当局が家の教会を破壊したことに抗議して7年前に逮捕、投獄された中国のメガチャーチの牧師が釈放された。
キリスト教系迫害監視団体「チャイナエイド」によると、ヤン・ロングリ牧師は2009年、夫のワン・シャオグァン牧師と共に逮捕された。2人は、山西省臨汾(りんふん)市にある信徒約5万人を抱える家の教会の指導者。
2人は同年9月14日、主催した祈りの大会を終えた後、臨汾市の故郷へ向かった。地元当局が臨汾市にある教会を破壊することを決めたためだ。地元当局は前日13日、500人以上の警官や私服職員を派遣し、教会や教会所有の靴工場を手入れ。この際、教会の信徒ら100人以上が負傷したという。さらにその10日後、ブルドーザーやパワーショベルを使って教会の複数の建物を破壊した。
ヤン牧師とワン牧師は、教会の他の指導者5人と共に、教会の破壊などについて抗議するため、山西省の省都、太原市へ向かったが、その途中で、14日に開いた祈りの大会について、「暴徒を集め、公共の秩序を乱した」として逮捕された。
2人はそれぞれ、7年と3年の懲役を宣告され、4万元(約62万円)の罰金を支払うよう命じられた。また、懲役期間のうち2年間は、強制労働収容所で奉仕するよう宣告された。
チャイナエイドによると、ヤン牧師は今月10日に釈放されたが、「監禁中に残虐行為を受けた痕跡が見られた」という。またヤン牧師は、「栄養失調や日光不足により」白髪になっており、糖尿病や腎臓結石、心臓病を患っているという。
ヤン牧師に対しては依然として政府の規制が敷かれているため、インタビューはできなかった。
人権活動家らは、中国共産党が、中国におけるキリスト教の影響にますます不安を募らせていると見ている。チャイナエイドが今年初めに公開した報告書によると、中国におけるキリスト教徒への迫害は、08年以降、7倍に増加した。
山西省では、過去2年間に1700教会が取り壊されたり、十字架が取り除かれたりしており、数百人の人権活動家や弁護士、牧師らが逮捕されている。
貴州省では7月、家の教会に出席した親たちが、教会に子どもたちを連れてくるのをやめない場合、子どもたちは大学や陸軍士官学校への入学が許可されないと言い渡された。また、教会に未成年者を連れてきた者は、全員起訴されると警告された。