幅広い年齢層から絶大な人気を誇るシンガーソングライターの Migiwa さん。透き通るその歌声と軽快なトークに魅了されるファンも多い。今年初め、音楽事務所から独立。現在は、マネージメント業務も自らが行っている。Migiwa さんに話を聞いた。
クリスチャンの両親のもと、5人姉弟の末っ子として、神奈川県川崎市で生まれ育った。逆子で生まれてきた Migiwa さんに、「この子は、本当に丈夫に育ってくれるのかしら」と不安を覚えていたという母親が、「主はわたしを緑の牧場に伏させ、いこいのみぎわに伴われる」(詩篇23篇2節)の聖句を信じ、奮起したことから、「みぎわ」と名付けたのだという。
内気でおとなしく、恥ずかしがり屋だったという幼少期。幼稚園に行くのも、小学校に行くのも、「嫌で嫌でしょうがなかった」。毎朝のように母親を困らせては、泣き叫びながら、しぶしぶ学校へ。低学年の時にいじめに遭うものの、本人にとって、それは大きな問題ではなかった。とにかく、人の輪の中に入っていくのが何よりもおっくうだったという。
中学生になると、人間関係も勉強もどちらも苦痛に。心と体のバランスを保つのが難しい思春期にさしかかり、ますます自分の殻の中に閉じこもるようになった。母親に相談しようにも、「祈って育てる」を貫く母は、Migiwa さんの苦悩に耳を貸すこともなく、本人も母親に気持ちを打ち明けることはなかった。
そして中学3年生になる頃には、不登校に。部屋に鍵をかけ、誰も自分の世界に入ってこられないようにしていたという。食事の時は、家族と一緒に食べていたが、それ以外は部屋の中で、ギターを弾いたり、好きな音楽を聞いたりして過ごした。「その頃は、携帯やパソコンなんてなかったので、SNSやゲームにハマるということはありませんでした」と話す。
高校は定時制の学校へ進学したものの、長くは続かず、退学。再び、ひきこもり状態に。社会から断絶した生活を送っていくうちに、「自分はいらない人間なのではないだろうか」「自分は、なぜこの世に生まれてきたのだろう」と思うようになった。娘のひきこもりに、母親もノイローゼ気味に。そんな母の苦悩をよそに、毎日のように「死にたい、死にたい」と泣き叫んでいた。
しかし、唯一 Migiwa さんが出掛けられるのが、教会だった。日曜日の朝は、家族と共に教会へ。自分を無条件に受け入れてくれる場所だと感じていた。ある日、牧師が語った御言葉は、Migiwa さんの心の奥深いところに刺さった。
「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしはあなたを愛している」(イザヤ43:4)
この御言葉を受けて、少しずつ外に出るように。同時に、大好きだった歌を教会などで披露するようになっていた。「恥ずかしがり屋は相変わらずだったが、歌を歌うときは、不思議とそれを感じず、歌えることにただ感謝と喜びを感じていた」という。
それから7年後、突然、Migiwa さんを予期せぬ病が襲った。「咽頭肉芽腫」というその病は、ストレスが主な原因の声が出なくなる病気だった。歌うことはおろか、話すことさえできなくなり、コンサートなども全てキャンセル。活動休止に追い込まれた。
「あの時の私は、どこか高慢になり、『神様を賛美している』と口では言っていても、優越感におぼれ、最低な賛美者だったと思います。きっと、神様が『これ以上、歌うのはやめなさい』とストップをかけたのかもしれません」と当時を振り返る。
その後、失意の中、渡米、弟子訓練を受けた。自分の中にある本当の罪に気付き、今度こそ心から神様を賛美しようと心に決めると、不思議と喉は癒やされていった。
2010年、音楽活動を再開。翌年、東日本大震災が発生すると、ボランティア活動や避難所などでの演奏活動を始めた。その活動は現在まで続き、数カ月おきに被災地を訪れ、歌声を届けている。
「今、ひきこもりや不登校をしていて、本人はもちろん、周りのご家族も暗闇の中にいる方々がいると思います。今は、インターネットが発達して、ひきこもりもさらに複雑化していると聞きます。よく、ご相談を受けるのですが、私には解決方法などは分かりません。ただ、祈ることしかできませんが、少なくとも経験のある1人として、ひきこもっている子の気持ちは少し分かる気がするのです。私のような人の前に出ることなんて、夢にも思わなかった少女時代を過ごした人でも、神様のご計画と時があり、今は大好きな音楽を仕事にすることができています。どうか祈りをもって、絶望せず生きてほしい」と話す。
Migiwa さんは、現在、コンサート活動で全国を飛び回っている。「もうほとんどの県に伺いましたが、なぜか長崎県だけは行ってないのです。長崎県を含め、まだまだ知らない土地に行って、神様の言葉を届けたいと願っています。自分で、1からコンサートの準備をすることで、より訪れる教会との関係が密になり、祈りつつ、その日を迎えることが多くなったように感じています。『謝礼』についても遠慮なくご相談ください」と話す。
コンサート、イベントなどは、メール([email protected])で相談のこと。