労働へ聖書的原則を適用した人の例
神に信頼すること、神と密接な交流を持つこと、聖霊により頼むことなどを通して、労働を神の御心にそった本来の労働の姿に回復させ、結果として神から多くの恵みと祝福を受け、労働において多くの実を結ばせた人物は多くいる。それらの中から、2人の人を例として以下に紹介したい。これらの例は、労働へ聖書的原則を適用させるために必要なことや、労働することは喜びであることなどを私たちに教えてくれる。
ポール・J・マイヤー氏(1928~2009)
マイヤー氏はキリスト者であり、27歳までに個人セールスと仲介業で100万ドルを獲得するようになった。それから2年間をテキサス州のある会社で過ごし、国内販売組織を設立し、その業務を15倍増加させた。
1962年に、彼は彼の夢のビジネスであったサクセス・モチベーション・インターナショナル(SMI)に乗り出した。関連会社のLMIとFMIが、すぐ後に続いた。
これら4つの全ての会社は、人々が十分に可能性を引き出すことを助ける目的で設立された。そしてこれらの会社のため24の充実したコースやプログラムを持つまでになった。これら全てのプログラムは総計20億ドル以上の売り上げを達成している。
マイヤーファミリーはまた、世界中に30以上の会社を所有し経営しており、商業建築、農場、コンピューター、ソフトウェア、印刷などを含んでいる。これらの他にも多くの事業や財団を運営している。
彼は自分の経験を基に、『成功への25の鍵』〔26〕という著書を表し、キリスト者がどのように生きていけばよいか、成功に導かれるかについて多くの示唆を与えている。これはいわば、キリスト者の処世訓的な内容の本といってよいであろう。
この中には「労働への聖書的原則の適用」に関する次のような幾つかの示唆も含まれている。「私の仕事は私の奉仕——仕事と奉仕が1つになるとき、自由が与えられる」「創造の権利ゆえに、全ては神のもの―管理者としての喜びと責任の発見」「あなたの才能と賜物を増殖させる技術―あなたのものすごい潜在能力を修得することの学び」「雇用主の本当の役割―雇用主が自分の役割を理解するとき、仕事は必ず向上する」
また、彼はこの著書の中で、「私がキリストを私の主、救い主、私の兄、執り成し手、父、さらには友として見始めたとき、私のキリストについての認識とキリストとの関係は劇的に変化しました。今や共に歩くことが本当に可能になったのです」と言って、神と共に歩むことの大切さを述べている。
マイヤー氏の歩みと彼の多くの実績とを見るとき、神は彼に聖霊を通して、リーダーシップ、知恵と知識、マネジメント力などの多くの賜物を与えられ、彼の歩みを導かれたように思う。神により頼んで労働を行うときに、神が大いなる祝福を与えられる良き実際的な例として参考にしたい。
ウィリアム・ケアリー氏(1761~1834)
ケアリー氏は、キリストの良き知らせを全ての国民と分かち合うことというビジョンを持って、神により頼んで働きを行い、特筆すべき成果を上げた素晴らしい英国人キリスト者である。彼の主要な成果を以下に列挙するが、神により頼む者に、神はこのように素晴らしい祝福を与えられることを彼の成果の内に見ることができる。
(1)聖書をベンガリ、サンスクリット、オリヤ、ヒンディー、マラティー、プンジャビ、アサメセのインド言語に翻訳した。(2)新約聖書を23の原語に翻訳した。(3)セランポーア・ミッションを設立した。(4)18のセンターに50人の宣教師を派遣した。(5)「インドの友新聞」を発行した。(6)131の学校を設立した。(7)インドで最大の印刷新聞社を設立した。(8)1つの製紙会社を設立した。(9)1806年、カルカッタ(コルカタ)にあるフォートウイリアム大学でベンガリ、サンスクリット、マラティー語の教授になった。(10)1805年に、ベンガリ語の文法と辞書を著した。
ケアリー氏の働きと多くの成果とを見るとき、神は彼に聖霊を通して、いつもビジョンや使命や目標を与えられたように思う。神の御声や神の御旨に従って労働や宣教を行う者に、神が大いなる祝福を与えられる良き実際的な例として参考にしたい。
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(参考並びに引用資料)
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[5]唄野隆(1995年)『主にあって働くということ』いのちのことば社
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・William Nix, 『Transforming Your Workplace For Christ』, Broadman & Holman Publishers, 1997
・ミラード・J・エリクソン(2005年)『キリスト教神学』第三巻、伊藤淑美訳
・ヘンリー・シーセン(1961年)『組織神学』島田福安訳、聖書図書刊行会
・ジョージ・S・ヘンドリー(1996年)『聖霊論』一麦出版社
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