メキシコ西部のミチョアカン州中央部で、カトリック教会の司祭が遺体で発見された。同州検事総長は25日、同国でここ数日中に起きた3番目の司祭殺人事件だと述べた。
遺体は、同州のプルアンディロとシナパロ間の高速道路上で発見され、ホセ・アルフレド・ロペス・ギーエン神父と判明した。
ギーエン神父は19日、人里離れた同州ハナムアトのカトリック教会で誘拐され、行方不明となっていた。この誘拐が起きる前、アレホ・ナボル・ヒメネス・フアレス神父とホセ・アルフレド・スアレス・デラクルス神父の2人が、東部ベラクルス州の湾岸沿いで誘拐され、殺害されていた。2人も道路脇で遺体となって発見された。
ミチョアカン州モレリア大司教区のアルベルト・スアレス・インダ枢機卿は、インターネットに投稿した動画の中で次のように述べた。「ベラクルス州パパントラ教区で、2人の若い司祭を亡くした痛みの後で、また1人、司祭がいなくなり、私たちは大きな痛みを覚えています」
インダ枢機卿はギーエン神父について、「善を実行する良い人物でした。彼は平和の人でしたから、このような蛮行は決して正当化されるものではありません」と述べた。
検死の結果、死因は銃創によるものであることが判明し、遺体発見の5日前にギーエン神父は殺害されたとみられている。
キリスト教抑圧監視団体「世界キリスト教連帯」によると、ここ10年間、メキシコでは麻薬戦争が続いており、殺人事件が頻繁に起こるようになっている。カトリック教会もその被害を受けており、2005年〜15年の間に殺害された司祭は31人に上る。
ミチョアカン州検事総長事務局は25日、ギーエン神父の行方不明が報告された19日以降、身代金の要求はなかったと述べた。同神父の遺体は、親族により身元が確認された。
メキシコは、国民の83パーセントがカトリック教徒を自認するカトリック教国だ。しかし、カトリック教会が違法な麻薬取引に反対する発言をしているため、司祭らは頻繁に攻撃目標とされている。
メキシコのカトリック・マルチメディア・センターは昨年、520人の司祭が恐喝の被害に遭ったと報告している。