上智大学(東京都千代田区)は1日、ANAグループがブノンペン定期直行便就航を機に「アンコール・ワット西参道修復工事サポーター」として、同大のアンコール・ワット遺跡保存修復活動を支援することが決まったことを発表した。 今後ANAは、遺跡保護に取り組む現地での人材養成をサポートすることになる。
同大は1996年、「カンボジア人による、カンボジアのための、アンコール・ワット遺跡保存修復」を国際協力の哲学に掲げ、カンボジア王国・シェムリアップ市に同大元学長の石澤良昭氏を所長とした「アジア人養成研究センター」を開設。以来20年にわたり、同国の世界遺産アンコール・ワットの現場で、遺跡の保存修復に携わるカンボジア人の石工や遺跡保存官などの人材育成を行ってきた。
今回、世界初のユネスコ公式サポーターとして、世界遺産保護などの啓発活動に取り組んでいるANAは、同大のカンボジアにおける「観光資源としての保全」や「現場での人材育成」につながる取り組みに賛同し、同グループのCSR活動の一環として支援することになった。
具体的には、同大の活動に関わる日本・ブノンペン間の航空券の提供や、ANA機内誌「翼の王国」などの媒体を通してアンコール・ワット保全活動に関する啓発活動などを行っていく。同大でも、20年の活動で構築したカンボジアのネットワークを活用し、現地社会情勢や文化事業について共有することでANAのカンボジアでの活動をサポートしていくという。
現在、同大とカンボジア王国政府アンコール地域遺跡保存整備機構(アプサラ機構)は、アンコール・ワットの表玄関に位置する全長200メートルの西参道の修復第2期工事(2016~20年)に共同で取り組んでいる。この工事は、2016年に起工式を行い、東京オリンピック・パラリンピックの開催年である2020年の完成を目指している。
同大のアジア人養成研究センターは、遺跡保存分野で活躍を目指すカンボジア留学生を積極的に受け入れている。現在までに18人(博士7人、修士11人)のカンボジア留学生が学位を取得し、各専門分野のポストで母国カンボジアにて活躍中だ。