近い将来、ローマ・カトリック教会は、女性の助祭を叙階することになるのだろうか。
ローマ教皇フランシスコは、この問題について検討する委員会を組織するよう、バチカンに指示し、米国人女性学者が委員の1人に選出された。これにより、カトリック教会の歴史が変わることになるかもしれない。
米ホフストラ大学(ニューヨーク州ロングアイランド)のフィリス・ザガノ博士は、長年の研究の結果、女性もカトリック教会の助祭として叙階を受けることが可能だという信条を持つに至った。そのザガノ氏が、12人の学者からならる委員会の委員の1人に選ばれたことを栄誉に思うのは当然だろう。この委員会は、キリスト教会の初期に、女性が助祭(執事)として任命されていたかどうかを研究することになるからだ。
「1通のメールが送られてきました。それだけです。私が午前8時30分に研究室に来ると、多くの方々からお祝いのメールが届いていました。その中の1通に、私が委員の1人になったという新聞報道を伝えるメールがあったのです。私はまるで、アカデミー賞を受賞したような気分になりました」と、ザガノ氏は委員に選出された当時の印象を、米ニュースメディア「宗教ニュース・サービス」(RNS)に語った。
またザガノ氏は、初期のキリスト教会で、女性が助祭の役割を果たしていたことを熟知する身として、自身は委員に適任だと思うとも述べた。
「女性助祭職についての研究、それが私の仕事です。私は、女性司祭叙階論を提唱したことは一切ありません。その点が、私の一番の強みだと思います。私は、助祭と司祭は別の働きだと考えています。助祭職は、歴史的に女性が従事していた職務です」と、ザガノ氏は語る。
「私はこのテーマについては、国際的にも数多くの講演をしてきました。学問的な論文も書きましたし、著名なメディアでも執筆したことがあります。また、さまざまな教会指導者たちと討論したこともあります。これは検討すべき問題であり、主が教会に判断を委ねているものです」とザガノ氏は言い添えた。
またザガノ氏は、委員会を組織したことは、カトリック教会の中で女性が活躍するための大きな一歩になるとも述べた。
「この問題が(委員会で)検討されることには大きな意義があります。それによって、カトリック教会全体で討論されることになるからです。討論するということ、それが重要です」とザガノ氏は語った。