コプト正教会の司祭が6月30日、エジプト・シナイ半島北部の都市アリーシュにある聖ジョージ殉教者教会の外で銃殺された。
同教会広報のボウロス・ハリム氏によると、同教会で行われた礼拝に出席していたラファエロ・モウウサ司祭(46)が教会を立ち去ったとき、自身の車のすぐそばにいた身元不明の犯人に射殺された。
治安当局者によると、襲撃に関わった犯人は複数おり、モウウサ氏の車の後を尾行し、モウウサ氏が車から姿を現したところを襲撃したという。
この襲撃に関する犯行声明はこれまでのところどこからも出ていないが、シナイ半島の過激派たちは、以前からキリスト教徒をエジプト政府と関わりを持っているとして標的にしていた。
シナイ半島北部で活発化している過激派組織「イスラム国」(IS)の支部が、その地域でこれまでに数百人の警察官や兵隊たちを殺害している。
「アリーシュやシナイ半島北部は恐怖にさらされている状況にあり、多くのキリスト教徒はその地を離れていっています」とハリム氏は言う。
エジプトの人口は、スンニ派のイスラム教徒が多数を占めるが、キリスト教徒は約10パーセントを占める。また、キリスト教徒の大半は、コプト教徒が占めている。
エジプトでは、教会の建設や改宗、宗教間の関係をめぐる諸問題の論争から、各宗教間での抗争が頻繁に起きている。
米政府の諮問機関である米国際宗教自由委員会(USCIRF)は先月、米国務省にエジプトを「特に信教の自由の重大な違反が長期間容認されている」国として、「特に懸念のある国」(CPC)のリストに加えるよう提言した。
エジプト政府はこの1年間、「信教の自由に関わる懸念に積極的に取り組む」姿勢は見せているが、「何のおとがめのない状況」が続いている、とUSCIRFは指摘している。