フェイスブック上でイスラム教を冒とくしたとして、エジプトのコプト教徒の家々が襲撃され、住んでいた村から逃げざるを得なくなってしまった。
イスラム教の預言者ムハンマドを冒とくするイラストをフェイスブックに投稿したとされているのは、エジプト中部ベニスエフ県の都市ファシンのカフルダルウィッシュ村出身のアイマン・ユセフ・タウフィークさん。マイアンさんはこれを否定しているが、彼の住む村では、コプト教徒の家々が投石され、火炎瓶を投げ付けられた。また車が壊され、数件の家が放火された。
この危機を解決するために話し合いがもたれたが、アイマンさんと親族の4家族が村から追放される結果となっただけであった。話し合いの後も、さらにコプト教徒の家10軒が放火された。
一方、コプト正教会の新聞「ワタニ」は、襲撃犯からコプト教徒の家を守った人々の中に、多くのイスラム教徒の若者がいたことを報じた。警察もまた迅速に対応している。
宗教研究者のイシャク・イブラヒム氏は、デイリー・ニュース・エジプト紙に対し、「アイマンさんは普段はヨルダンに住んでいる無学の人で、ベニスエフ県に帰ったときに村の住人にそのイラストを見せたとして糾弾されています。この事件では、最初は村の住人はアイマンさんを告訴し、罰金刑に処することを願っていました。しかし、後に考えを変え、村を去るよう求めることに決めたのです。アイマンさんには、それぞれ家庭を持つ3人の兄弟と、70代と80代になる両親がおり、皆村に住んでいましたが、村を去らなければならなくなりました」と、事件の詳細を説明した。
イブラヒム氏によると、地元当局が家族の村外追放を許可したという。「話し合いが2回あり、1回目は警察で、2回目は村長の家で行われ、その地域のキリスト教徒とイスラム教徒が参加しました」とイブラヒム氏。アフメド・マヘル村長が、アイマンさんの家族に対し、村にとどまることを選んでも警察は安全を保障できないと伝えたという。
イブラヒム氏は、「宗教についての意見を表明する人による暴力と、少数派への迫害がエジプトでは起こっています。個人が宗教を冒とくしたという場合にその傾向は強まり、そうしたケースの裁判は通常、公正ではありません。宗教を冒とくしたことを理由とする告発は非常に曖昧で、どのような行いが冒とくとされ、どのような行いが冒とくでないかは定義されていません。例えば、イマム(イスラム教の指導者)が、キリスト教徒は皆不信仰の者だと話したとき、これは冒とくとされるのでしょうか。暴力の行使を呼び掛け、憎悪をあおる者だけが告発されるべきです」と語った。