コプト正教会の教皇タワドロス2世は21日、リビアで過激派組織「イスラム国」(IS)によって斬首された21人の信者を、同教会の聖人略伝集に加えた。同教会の米ロサンゼルス教区がウェブサイトで発表した。
同教区によると、殉教した21人は今後、毎年コプト暦のアムシール8日(2月15日)に追悼されることになる。この日は、正教会の十二大祭の一つである「主の迎接祭」と同じ日でもある。これに伴い、同教区は24日、すでに発表していたものに一部修正を加えた21人の殉教者のリストも公表した。
ISが21人を斬首した動画を公開した15日、同教区は声明を発表。21人の名前と共に、「主が喜びの楽園において彼らの清らかな魂をお受けになり、主を喜ばせた全ての聖徒たちが寄り添う中で、永遠の安らぎをお与えになるよう祈る」と述べていた。
声明はまた、ISが公開した動画や写真に関心を寄せ、それを広めるよりも、殉教者の名前を「この世とこの世の悪に対する勝利者」として、祈りのうちに覚え、分かち合う方が適切だと指摘。「キリストがこれらの殉教者たちの遺族と、この大きな不正義を嘆き悲しむ全ての人たちを慰めてくださるように」という祈りを記していた。
同教区はこの他、この21人が殉教する2~3週間前にリビアで殉教したコプト教徒の家族についても伝えている。殉教したのは15歳の少女キャサリン・ソブヒーちゃんとその両親の3人。同教区によると、キャサリンちゃんが学校でヒジャブ(女性の頭を覆うもの)をかぶるのを嫌がったため、過激派らが夜にこの家族の自宅を襲撃。両親を殺害し、キャサリンちゃんも拉致されたあと殺され、道端に置き去りにされたという。同教区は、他の2人の幼い女の子たちと手をつないで微笑むキャサリンちゃんの写真と両親の名前も公開し、「この家族も21人の新たな殉教者たちと共に、真に追悼に値する」としている。
同教区はまた、21人の殉教者がキリストを見上げ、天使たちが彼らに永遠の命の冠を授けようとする様子を描いたイコン(聖像)も公式サイトに掲載している。「自らの清い血を流すことによって私たちの主イエス・キリストを証しした、勇気ある英雄たち、リビアの新たな殉教者たちをたたえて」と説明し、「ああ、リビアの聖なる新たな殉教者たちよ、私たちのために祈り給え」という祈りを記している。
一方、エジプトの都市エルメニアにあるサマラウトのボブノティオウス主教は、コプト正教会のフェイスブックに23日に掲載されたインタビュー動画の中で、「21人の殉教者たちは死ぬまで信仰を捨てなかった」「主にあって信仰が強められた」と強調した。
そして、「彼らは聖人略伝集に加えられるに値する」と語るとともに、彼らの名前にちなんだ「21人殉教者の教会」を建立する意向を示した。その上で、21人の信者たちを殺した者たちに対し、「主が彼らを正しい道へと導いてくださるように」と語り、悔い改めを説いた。