国内で続いているキリスト教徒の誘拐への関心を高めるため、エジプトのミニヤ県の庁舎前で7日、コプト正教徒150人以上が抗議の座り込みを行った。
ミニヤ県での抗議活動は、数日前から行方不明になっている18歳のコプト正教徒の少女の事件に主眼を置いた。フィデス通信によると、サマロウトに住む少女の家族は、少女が誘拐されたことを確信していると述べた。
「キリスト教徒を標的とした誘拐事件は、エジプトの多くの地域のコプト正教徒の共同体にとって、災難となり続けている。この現象に対峙(たいじ)するための適切な方策がとられるよう、キリスト教系の諸団体からエジプト当局やシシ大統領に対するアピールが数度発表されている」とフィデス通信は報じた。
イスラム教が優勢なエジプトでの少数派であるコプト正教会の信者は、しばしば身代金目的で誘拐される。身代金は家族の支払い能力を見て要求される。しかも、人質の死という結末を見ることもある。
資産の所有についての裁判になったとき、コプト正教徒はイスラム教徒の判事による判決という困難にも遭遇する。例えば昨年11月、あるキリスト教の聖職者がシシ大統領に対し、歴史的な教会が破壊される危機に介入するよう求めた。
今月、AP通信はコプト正教徒の生徒3人がイスラム教の祈りを侮辱したとして告発されたことを報じた。学校の教師は、同じ罪で懲役3年の刑の判決が出た。AP通信によると、シシ大統領がエジプトの宗教関連の法律を近代化すると約束したにもかかわらず、エジプトではここ数カ月間、冒とく罪での告発が急増している。
2013年7月にムハンマド・モルシ前大統領とムスリム同胞団の失脚が起きた際、コプト正教徒は執拗(しつよう)に標的とされた。モルシ前大統領の支持者はキリスト教徒を襲撃し、キリスト教書店や孤児院、教会を破壊した。モルシ前大統領と支持者約100人は昨年5月、2011年の大量脱獄ほう助の罪で死刑判決を受けた。
モルシ政権時代にキリスト教徒は苦難にあったにもかかわらず、コプト正教会のある主教は当時、モルシ前大統領に対する死刑判決に抗議の声を上げ、教会は命の保護に対して妥協しないと主張した。
「教会は司法権の独立を尊重しますが、生存権は不可侵だと信じており、死刑制度には反対です。事実は、このような刑罰がエジプトの法律で予定されているということです」とアンバ・キリロス・ウィリアム主教は語った。