米国を拠点とするキリスト教団体「フォーカス・オン・ザ・ファミリー」(FOTF)が、今年2月にリビアでテロ組織「イスラム国」(IS)に殺害されたエジプト人キリスト教徒21人の遺族のために、新しい家を建築している。
FOTFが遺族のために家を建てているのは、エジプト中部のミニヤ県サマロウト。ISに殺害された21人は皆20代半ばで、コプト正教会の信徒だった。FOTFのウェブサイトによると、遺族はキリストへの信仰以外には文字通り何も持っていない状況だという。
「遺族は、その痛みがすぐに喜びへの道となったことを分かち合いました。彼らは、このような残虐な行いをしたISの戦闘員と信仰を分かち合いたいという希望を語っています」と、FOTFのジム・ダリ代表は自身のブログ「ダリ・フォーカス」につづった。「遺族は、殉教者が今はイエス・キリストと共に天の家にいることを喜んでいました。彼らの唯一の祈りの課題は、『私たちの信仰が強く保たれるよう祈ってください』です」
犠牲者の一人の母親は以前、「私は息子が信仰を保ち、十字架のために死んだことを神に感謝します。なぜなら彼は生まれた時からキリストの息子で、私の息子ではないからです」と語った。
事件後、FOTFのスタッフは2月に遺族の住む村を訪問した際、遺族たちが経済的には困窮しているにもかかわらず、豊かな信仰を持っていることを知った。
エジプトにあるFOTF中東支部のサミ・ヤクー支部長が率いるこの住居新築プロジェクトは、コミュニティー全体に影響を与えている。
「土建業者は家の建築のために地元の労働者を雇い、新しい仕事を提供しています。地域のコプト正教の主教は、職業教育訓練所のために建物2棟を寄付し、新しい可能性をつくり出しました。サマロウト付近の家庭は、建築労働者が働いている間、彼らのための食事を持ち寄っています。国際的な教会の愛と一致の象徴としてこの家が建築されている様子を見ることは、素晴らしい喜びです。このような恐ろしい悲劇のうちでさえも、全能の神の存在を覚えることができるのは驚くべきことです」とダリ氏は言う。
FOTFによれば、住宅は質素なものだという。「しかし安全で、シェルターを提供し、軽んじられているコミュニティーの人々に家庭と呼べるものを提供します。もっと言えば、住宅は世界中のキリストの体の一致を物理的に体現するものです」