福島第一原発事故により避難区域以外の地域から避難している人たちへの避難用住宅の提供が、来年3月で打ち切られることを受け、「福島原発避難者の追い出しをさせない!!市民の会」は、緊急アクションとして街頭署名活動を8日から開始した。初日となるこの日は、東京都千代田区の有楽町マリオン前で、避難用住宅の打ち切り撤回と長期無償提供などを求める署名を呼び掛けた。
同会は、福島第一原発事故による広域避難世帯の支援を続けるカトリック信徒らによるボランティア団体「きらきら星ネット」のメンバーが中心となって発足。きらきら星ネットだけでなく、「東京災害支援ネット」(とすねっと)や「ひなん生活をまもる会」など、福島第一原発事故の問題に取り組む他の団体も協力しており、この日は、原発訴訟など国民的課題に最前線で取り組む弁護士の山川幸生氏も参加した。
きらきら星ネットは昨年6月、避難区域以外からの避難者に対する避難用住宅の提供の打ち切りが発表された際、「避難用住宅が自主避難者(区域外避難者)にとって唯一と言っても言い過ぎではない社会的支援」だと指摘。「避難用住宅の無償提供を打ち切ることは、避難生活の基盤を失うこと」だとして、国や都県の方針の撤回を求めて署名活動を行ってきた。この活動では6万4千を超える署名が集まり、政府、福島県、東京都それぞれに提出したが、これまでのところ方針撤回までには至っていない。そのため、さらに署名を集めて追加提出をしようと、今回、再度署名活動を始めた。
同会は、避難用住宅の供与打ち切りの撤回や、避難用住宅の長期無償提供の確約と実行の他にも、生活状況に合わせて他の避難用住宅へ転居することを認めることや、新規避難者への避難用住宅の無償提供の再開、避難者の意思に反した「帰還」の推進をやめることなども要求していく。
この日の署名活動では、福島から東京に避難してきている母親が、「自分の家は福島にあるが、子どもへの放射能の影響が怖くて避難している。原発事故がまだ終わっていない福島に子どもを連れて帰ることはできない。現状が回復するまで避難を続けたいという私たちの願いを聞いてほしい。避難用住宅を打ち切らないでほしい」と繰り返し求め、「放射能の被害により福島から避難している1万8千人のために署名をお願いします」と道行く人たち一人一人に訴えた。
参加者らは、少しでも関心を示してくれる人たちに避難用住宅の打ち切りについて説明したチラシを渡し、署名を依頼。同会代表の岩田鐡夫(てつお)さんは、「今回は初めてということもあって、署名の数は少なかったが、チラシを持っていってくれた人はかなりいた。続けることに意味があると思っている」と話し、「3月の打ち切り期限を撤回させることを絶対に諦めない」と決意を語った。
参加者の一人は、「毎週諦めずに続けていくことで、問題に気付き、意識を持ってもらえる。まず問題が存在していることを知ってほしい」と語った。弁護士の山川氏は、「避難者は5年たって、皆疲弊している。その上、住むところを取られたら、どうしていいのか分からない状態だ。来年3月までの打ち切り期限を撤回し、皆が安心して暮らせるようにしてほしい」と話した。
「皆で力を合わせて絶対に原発事故避難者の追い出しをさせないようにしましょう!!」を合言葉に、同会はこの緊急アクションを、毎週水曜日正午〜午後1時に有楽町マリオン前で行う。また、継続的に街頭署名を行うために、協力者を呼び掛けており、個人でもグループでもエントリーできる。毎月1回でも2回でも可。問い合せ・申し込みは、
メール([email protected]、担当:岩田鐵夫)まで。