9日にフィリピンで行われた大統領選挙で、ロドリゴ・ドゥテルテ氏が勝利したのを受けて、同国のカトリック司教協議会(CBCP)は同日、カトリック教会が新しい政府と共に働くと述べた。バチカン放送局が10日報じた。
リンガイェン・ダグパン大司教である同協議会のソクラテス・B・ビリエガス会長は、新しく選ばれた官吏たちに対し、自らの成功を人気投票としてではなく、最も弱く困窮している人々に奉仕するための神からの召命と見なすよう、強く求めた。
同協議会による「立て、行こう」(マタイ26:46)と題する声明文(本紙による非公式の全訳)は次の通り。
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キリストにある兄弟姉妹へ:
「わたしは天と地の一切の権能を授かっている」(マタイ28:18)
これは、普遍的な王権と支配に対する主イエスの究極的な断言です。これらは父の右に座したまえる、昇られたお方の御言葉です。私たちは選挙の前に皆さんに文書で伝えました。選挙がもう終わったので、私たちはもう一度皆さんに文書で伝えます。
幾つかの批判的で意地悪でさえある声によって、私たちは政治に「干渉」するのをやめるようにと求められました。私たちにはできません。私たちは政権を求めることはしませんし、求めたことはありません。私たちは、カトリック信者に油を注がれた一組の候補者への支持を強要することさえありません。しかし、もしキリストに対する忠誠が―政治生活を含む、あらゆることにおいて—何を要求するのかを、彼の弟子たちに思い起こさせるのをやめたとしたら、それはキリストの普遍的な支配の否定となるでしょう。
投票が行われ、今数えられています。当選した方々へ。あなた方が神の御心を見分け、勇気をもって神の求める通りを行うことができる知恵が与えられるよう、主に祈ることを約束します。神の御手は、歴史の中で認識され得るのです。それならば、あなた方の勝利を、名声にでも人気にでもなく、あなた方を奉仕へと招き、私たちのただ中で最も弱く困窮している人々を気遣うよう招いておられる、神に帰するようにしましょう。子どもたちは気遣いを必要としており、それは先延ばしすることができません。そして、多くの女性たちは、自らが搾取されている状況に置かれていると考えています。先住民族は軽んじられたままであり、誇示されている経済の成長は、都市部の外に住んでいるフィリピン人にとっていまだに何か重要な意味があるものとはなっていません。
当選しなかった方々へ。あなた方は、個人として、神の子たちとして、あなた方が熱望した地位よりもっと無限にそれ以上の者なのです。意気消沈し落胆するよりもむしろ、復活の主があなた方を遣わして「すべての民を弟子にする」とはいかなることなのかを問い、自らに挑むべきなのです。もちろん神の国の建設に貢献するには他にも多くの道があります。信仰において、そして神の霊に対する従順において、自分の道を発見するのはあなた方なのです。
教会がどんな政府にももたらすことができる最大の約束は、用心深い協働であり、私たちは今それを実行します。私たちは自らの民に対し、全ての人に向かって、この政府と共に働くよう強く求め、常に頻繁に、声を大にして教え、預言をし、諭し、正すことができるように、用心深くあり続けるつもりです。—これが私たちの使命だからです。
今こそ立って、行きましょう。
フィリピン・カトリック司教協議会
2016年5月9日
CBCP会長
リンガイェン・ダグパン大司教
ソクラテス・B・ビリエガス