熊本地震の発生から1週間がたった。物流も徐々に復帰しているが、依然として余震が続き、車中避難している人も多く、住民は眠れない夜を過ごしている。19日から2日間、被災した熊本県内にある実家を手伝いに帰郷し、震災で倒壊した熊本東聖書キリスト教会の豊世武士牧師を訪問した拝高真紀夫牧師(広島福音自由教会)に話を聞いた。今回の震災で、実家は大きな被害を受けた。熊本東聖書キリスト教会には、弟が教会員として集っている。
「熊本県全体に疲れがたまってきているようだ。豊世先生も非常にお疲れのようだった」と拝高牧師は話す。強い余震が続き、慣れない避難所生活や車中での生活。何をするにも、一つ一つに時間がかかるのだという。
通常、往復1時間半もあれば行けるような郊外のスーパーにも、買い出しにいくのに7時間かかった。震災後2日間を避難所で過ごしたという拝高牧師の知人は、おにぎり2個をもらうのに、避難所で2時間も並んだ。何をするにも、平常時の何倍もの時間がかかることが、被災者のストレスをさらに増加させるのだ。
水道水も出るには出ているが、地域によって、濁った「コーヒーのような色」の水しか出ないため、飲み水はおろか、洗濯することもできない。拝高牧師が支援物資として持っていった水は、特に小さな子どものいる母親たちに非常に喜ばれたという。ただし、支援物資は刻一刻と要求するものが変わるので、支援先に確認が必要だ。
まことしやかなうわさにも、被災した人々は振り回され、疲弊しているのだという。「自衛隊からの情報によると~の川が氾濫するらしい」などといった情報が、頻繁に流される。
また、倒壊した家や、半壊の家に入る空き巣も横行している。「治安は決して良いとは言えない」と拝高牧師は話す。長引く避難生活の中で、人々のストレスが徐々に重なる中、人々の不平不満も出始めた。地域社会へも影を落としかねない。
車は、県外ナンバーも多く、関係者やボランティアの車両も見受けられる。「キリスト教会関係者も多く来てくださり、感謝している。熊本県内、特に被害のひどかった地域に入る際、私の考えだが、何か「~教会」とか「~キリスト教団」のような目印になる腕章やマークをつけておくといいように思う。今後は、物的支援よりも片付けやがれきの処理などの作業をするボランティアも多く県内に入るだろう。その際に、『家に他人を入れるのは・・・』とちゅうちょされる被災者もいるかもしれない。キリスト者としての証しをするため、また身元を明らかにして、安心していただくためにも、そのような目印があるとよいのでは」と話した。
一方、倒壊した熊本東聖書キリスト教会の豊世牧師の長女は、5時間もの間、がれきの下敷きになり、余震が続く中、レスキュー隊の救助を待った。牧師夫妻はその間、ずっと祈り、救助されると「神様が助けてくださった! 奇跡だ!」と声を上げた。長女は、余震が起きるたびにがれきが居場所を狭め、不安と恐怖で気持ちが押しつぶされそうになる中、聖書の詩編23編「ダビデの賛歌」を何度も口に出して、自らを奮い立たせたのだという。
また、拝高牧師は現地を訪問した際、知人にイザヤ書42章から話をして共に祈った。知人はクリスチャンではなかったが涙を流し、「希望を持って生きていく」と話したのだという。
「聖書の御言葉は、希望の光。御言葉には力がある。今回、あらためてそれを感じた。最大の支援は、神様の言葉ではないか。まずは教会を再建させること。そして、そこを拠点に御言葉を広めていただければと思う。教会を元気にすることが、地域を元気にする。皆様の今までの祈りと支援に感謝するとともに、引き続きの祈りと支援を願いたい」と拝高牧師は話した。
熊本東聖書キリスト教会への支援金の送金方法は下記の通り。
<ゆうちょ銀行>
記号:17100 番号:11413721 豊世武士
<熊本銀行>
益城支店(114)番号:3052184 豊世武士