米国カトリック司教協議会の救援事業団体「カトリック・リリーフ・サービス」(CRS)によると、エクアドルで最も貧しく最も脆弱(ぜいじゃく)な社会の幾つかに打撃を与えた今回の巨大地震の生存者を見つけるのは、今や時間との絶望的な闘いだという。バチカン放送局英語版が19日、報じた。
CRSラテンアメリカ地域代表のトム・ハリウッド氏は、現在エクアドルにいる。バチカン放送局の取材に対し、この巨大地震がもたらした被害の深刻さについて語った。
「最も貧しく、最も脆弱」
今回の地震による死者数が増える中、ハリウッド氏はその被害について「大規模かつ壊滅的」だと表現した。この災害によって最も大きな打撃を受けた地域が、エクアドルで「最も貧しく、最も脆弱な人たちの一部」だと指摘し、「これらの住民はすでに極貧と闘い、それに苦しんでいる」と説明した。
ハリウッド氏は、倒壊した建造物のがれきの下にまだ閉じ込められている生存者たちを見つけるのは、今や時間との絶望的な闘いだということに同意した。
生存者たちにとって最も緊急なニーズは何かとの問いに対し、ハリウッド氏は、何千人もの人々が屋外で眠らなければならないことから、仮設避難所が一つの鍵となる課題だと語った。清潔な水と食糧の供給がもう一つの主なニーズだと語り、とりわけ最もひどい打撃を受けた地域にいる住民の多くはすでに、「食卓に食べ物を用意しようと苦闘している」という。
ハリウッド氏によると、幾つかの遠隔地域にはまだ救援隊が到着していないため、CRSのチームを派遣して、被害の規模や住民のニーズを評価するという。
16日に同国を襲ったマグニチュード7・8の地震により、広範囲にわたって建物や産業基盤が被害を受けている。バチカン放送局によると、18日の時点で少なくとも272人が死亡、2068人が負傷したと伝えていたが、その後、BBCなど欧米のメディアは20日、死者数が500人を超えたと報じた。
「エクアドルは極めて大きな打撃を受けてしまった。これは過去67年間で最も大きな悲劇だ」と、同国のラファエル・コレア大統領は国民へのテレビ演説で語った。「がれきの多くの中には命の兆しがあり、それが優先だ」
CRSによると、水と食糧、緊急避難所が向こう数日間での最も大きなニーズになるという。ハリウッド氏は、「最も貧しい地域の幾つかは沿岸部の近くにあり、何千人もの人々がすぐに助けを必要とするものと予想している」と語った。
大雨で被災地域への交通が悪化
CRSの報告によると、最も被害が大きい二つの地域、エクアドル北西部のエスメラルダス県と同国西部のマナビ県では、最近たくさんの雨が降り、地滑りが起きやすくなっている影響で、交通状況が悪化しているという。ハリウッド氏は、「沿岸に向かう道路はとりわけ悪くなっていて、地滑りの可能性があり、被災地域に到達するのは困難だろう。エルニーニョによる雨に打たれてきた貧しい地域は、今や大地震の余波に対処しなくてはならない」と話した。
この地震の震源地はエクアドルの沿岸にあるムイスネという町の南西16マイル(約26キロ)で、揺れは遠く離れたその南100マイル(約160キロ)の首都キトでも感じられたという。被害が広範囲にわたることから、CRSは他の支援団体などと活動を調整し、どの地域に優先して評価が必要かを決めるとしている。
今回の地震は、津波を引き起こして600人にも上る死者を出した1979年の地震以来、エクアドルが経験した最も強力な地震だ。
CRS―エクアドルで初期対応の経験50年
CRSはエクアドルで1960年代から活動してきた。過去5年間にわたり、洪水や地震活動、および異常気象の傾向がある地域で、危険度分布図の作成、偶発事故対策、初期対応およびその他の措置について、カリタスの教区民を訓練することに多く投資してきた。
また、スカラブリニ宣教修道女会とは、現在進行中で被災地域における計画の作成に取り組んでいる。その計画は極めて重大な人道的、心理的、社会的および法的援助をコロンビア難民に行うものだという。
なお、ワールド・ビジョン・ジャパンは18日、緊急支援を開始したことを公式サイトで発表した。また、米国の国際的キリスト教援助団体サマリタンズ・パースも地震被災者に対する支援を行っている。