今年は2月18日から始まった四旬節(レント)。カトリック系の慈善団体「カリタスジャパン」では、例年四旬節に合わせて「愛の献金」キャンペーンを行っており、今年も献金を呼び掛けている。
日本のカトリック教会ではこの期間、各教区・教会で献金が呼び掛けられる。集められた献金は、カリタスジャパンを通して、海外や国内の各地へ送られ、難民や孤児の支援、また貧困や失業、飢餓などに苦しむ人々の支援のために用いられる。
「福音の告知や祈りとともに、教会に欠くべからざる本質的な要素は、愛の奉仕です」。カリタスジャパンの責任司教である菊地功司教は、今年の四旬節「愛の献金」趣意書の中でそう述べている。「教会の伝統は私たちに、四旬節において『祈りと節制と愛の業』という三点をもって、信仰を見つめ直すように求めています。四旬節の献金は、犠牲としてささげる心をもって行う愛の業に他なりません」とし、「愛の業」への参加を呼び掛けている。
今年の四旬節「愛の献金」小冊子によると、昨年は四旬節の献金で約5800万円が集まった。また、2014年4月から15年3月までの間に、報告されているだけでも、インドやパキスタン、バングラディッシュ、カンボジア、モンゴル、ルワンダ、ウガンダ、イラク、ケニア、ミャンマー、ヨルダンなどの国々へ支援を行っており、国内でも住居のない生活困窮者のための個室シェルター事業などに拠出している。
今年の四旬節にあたってのローマ教皇のメッセージは、「心を固く保ちなさい」(ヤコブ5:8)。教皇は、「四旬節は、全教会、各共同体、そして信者一人ひとりにとって心を新たにするときです」とし、「神は、冷淡なかたではありません。神はわたしたち一人ひとりを心に留めておられます」とメッセージ。一方、「今日、無関心というこの利己的な態度が、無関心のグローバル化といえるほどに世界中に広まっています。わたしたちは、キリスト者としてこの問題に取り組まなければなりません」などと訴えた。
小冊子では、昨年の支援プロジェクトを写真と共に報告している。ウガンダでは西部山間部の貧困地域を対象に、地元の資源を生かした有機農業を住民に伝えるプログラムを実施。深刻な干ばつに直面するケニアのマチャコス地域では、地元住民と協力してダム作りを行った。
また、支援を受けた現地の人々の声も伝えている。「このプログラムに参加する前は、『貧困』とは『お金がないこと』だと思っていた。しかし、今の自分たちにとって『貧困』とは『自分の人生の中に可能性を見つけられないこと』、そして『できると信じないであきらめてしまうこと』だ」と話すのは、ウガンダのバリジュナキさん夫妻。また、ウガンダのバワド・カトゥシャベさんは、「『貧困から抜け出すことは無理』とあきらめていた絶望が『自分たちにもできる』という希望へ変わった時、それが立ち上がるチカラとなる」と語っている。
カリタスジャパンでは、「愛の献金」の趣意書を日本語の他に、英語やスペイン語、ポルトガル語、韓国語、中国語など計9カ国語で提供しているほか、小冊子や祈りのカード、ポスター、募金箱、献金用封筒なども用意している。
献金は、各カトリック教会の四旬節献金で受け付けているが、郵便振替(番号:00170−5−95979、加入者名:(宗)カトリック中央協議会カリタスジャパン、通信欄に「四旬節献金」と明記)でも可能。専用の郵便振替払込用紙(払込料不要)も事務局で用意しているという。キャンペーンの詳細・問い合わせは、同団体のホームページまで。
カリタスジャパンは、日本カトリック司教協議会の社会司教委員会を構成する一委員会。社会福祉活動の推進と国内外の災害援助や開発援助を行っている。日本のカトリック教会における広義の社会福祉に関わる部門として、また国際カリタスの一員として、その他の国際機関とも協力しながら活動を行っている。国際カリタスは、1951年に当時のローマ教皇ピオ12世によって認可された社会活動・救援活動団体。国連認定NGOであり、カリタスジャパンも含め加盟団体数は160以上に上る。