過激派組織「イスラム国」(IS)は、ロンドン、ローマ、ベルリンを攻撃すると脅迫する新しいプロパガンダ動画を公開した。しかし専門家は、この動画にはIS自体が危機にあることのサインが含まれていると指摘する。
公開された4分46秒の動画には、斬首や処刑、大量破壊の映像が映っている。ほとんどの字幕はアラビア語だが、何度も何度も繰り返されるこのフレーズには英語が使われている。「彼らと戦え。アッラーはあなたの手で彼らを罰される」
動画では、信者でない者について「どこでも彼ら(信者でない者)を見つけたら、殺せ」と述べている。また、英国議会のあるウェストミンスター宮殿、ローマのコロシアムの映像の後、「われわれは処女たちの待つパラダイスの門へと行進するだろう」という言葉が流れる。
英語の字幕では、ISの戦闘員が「不信心者」や異端者に対して「吠える準備」をしていると述べている。動画のコメンテーターも、繰り返し「不信心者」を脅迫する。動画には、コンピューターで編集されたパリのエッフェル塔が破壊される場面や、パリ、ブリュッセル、9・11などのテロ攻撃の映像が使われている。
「十字軍の国々よ、このメッセージはお前たち宛てだ。お前の選択肢はほとんどないことを知れ。イスラム教に入信するか、ささげ物をするか、戦いを凍結するかだ」とナレーターは英語で話している。 「昨日はパリで、今日はブリュッセルだったなら、アッラーは明日はどこなのかを知っておられる。おそらく、ロンドンかベルリンかローマだろう」
聖戦主義についての専門家ジル・ケペル氏はインディペンデント紙に、ISのプロパガンダのメッセージが「混乱」してきていると語った。ケペル氏は、「ISのコミュニケーションは危機にあります。これらの無差別攻撃は、彼らが戦闘員を集めようとしているイスラム教徒がいる多文化都市を直撃します。しかし、これらの行動はイスラム教徒を一致させません。それからは、はるかに遠いです」と述べた。
ISは戦闘での敗北に苦しんでおり、主要な指導者の何人かは殺害された。最近、パリの事件に関わった疑いのあるサラ・アブデスラム容疑者が逮捕された。