キリスト教学校教育同盟の佐藤東洋士理事長(桜美林学園理事長)は、理事長就任5年目に当たってのあいさつを、「動き出した新しい連携」と題して機関誌「キリスト教学校教育」4月号で発表した。佐藤氏は、106年目を迎えた教育同盟の歴史を継承しつつ、2014年に一般社団法人として新たな組織として歩み始めた中で生まれた新しい連携の可能性について触れた。
キリスト教学校教育同盟は、2014年10月にこれまでの任意団体から一般社団法人へと移行した。その中で佐藤氏は、今後教育同盟がどのような存在意義を発揮できるかをあらためて考えるとともに、「『新しい連帯を目指して―共に祈り、共に生き、共に歩む―その思いを一致させ実践していく精神を忘れない』ことも心に刻み続けたいと願った」と述べた。
現在教育同盟に加盟する102の法人は、キリスト教主義の学校として運営していく姿勢は共通だが、学校規模から捉えると二極化の状態にあると佐藤氏は指摘する。小規模校にとっては、一つの問題により学校法人の存続の危機にまで及ぶこともあり、これまでにも研修会や連絡協議会などで大規模校と情報共有や議論を重ねてきたが、具体的な課題解決については、組織として取り組んでいくことが困難だったと振り返った。
それが、昨年6月に一般社団法人として維持財団と組織統合したことで、小規模校との新たな連携が組織的取り組みとして可能になったことを伝えた。また、一般社団法人に改組したことにより、旧来の組織では困難だった「教員免許更新講座」を構築する取り組みも進んでいることを紹介した。小規模校や大都市圏にない学校にとっては、教員免許更新講習は切実な問題だ。
災害時の相互支援についても、「災害支援連絡会議」の設置を含め、取り組みが着実に進んでいることに触れ、「これにより防災をテーマとして『顔の見える』関係づくりが一層推進されると考えます」とさらなる連携強化に期待を示した。
最後に佐藤氏は、「新しい連携が加盟法人の持続的発展に必ず寄与するものになることを信じてやみません」と結んだ。