キリスト教学校教育同盟は、2015年度の教育研究委員会(教研)中央委員会を12月26日に桜美林大学四谷キャンパス(東京都渋谷区)で開催し、隔年ごとに決定する教研のテーマについて、2016年度と17年度は「時代の担い手としてのキリスト教学校-共に喜び、共に泣く」とすることを決定した。同団体の機関誌「キリスト教学校教育」3月号で報告した。
委員会には、担当理事、委員、事務局合わせて23人が参加した。
教研担当常任理事で明治学院の小暮修也学院長は、同機関誌に寄せた文章で新テーマの意義について述べた。小暮氏は、現代の日本で官民を挙げて叫ばれている「グローバル人材の育成」について「地球的視点に立った人間の育成」という意味で捉えているとした上で、「多くの学生を留学させ、世界を体感させることは必要なことであるが、重要な点は、地球的視点に立ってさまざまな人々の恩恵を考えられる人間となるかどうかである」と論じた。
また、栃木県那須塩原市にあるアジア学院の働きや、フィリピンで恵まれない子どもたちを預かるメソジスト系施設の働きを例に挙げ、「世界が経済や社会の発展を目指す時代のはざまで『小さくされている人々』のことを祈り、共に生きることを目指すことによって、『地球的視点に立った人格の形成』が図れるのではないか」と述べた。
新テーマの副題に引用されているローマの信徒への手紙12:15については、「キリスト教学校、教職員、幼児、児童、生徒、学生にとどまらず、この社会に生きる人々と『共に喜び、共に泣く』という広がりを持った言葉である」と説明した。
教研委員長で新島学園短期大学教授の小林俊哉氏によると、新テーマを審議するに当たっては、テーマ案の中ですでに「時代の担い手」「共に祈る」「仕える」といったキーワードが多く出されていたという。小林氏は、「ここに現在の私たちの問題意識が集中していることが示されたと思う。16年度の全国委員会では、このテーマの中間評価を行うとともに、教育同盟の新しい未来につなげるためにも私たちの歩みの検証を継続したい」と述べた。