葬儀業を手掛ける「燦(さん)ホールディングス」は10日、同社の子会社「公益社」の施設「ステラ事業所」(大阪市)で、14年と15年に各1件、計2件遺体を取り違えるミスがあったと発表した。いずれも取り違えが明らかになった後に隠ぺい行為があり、うち1件については別人の遺骨が遺族に渡されていたという。
遺体の取り違えがあったステラ事業所は、身元不明の遺体や身寄りのない遺体に特化した葬祭施設で、大阪府内の警察署が所管する身元不明の遺体や、事件・事故に巻き込まれた可能性のある遺体、病院や介護施設などで亡くなった身寄りのない遺体を引き受けている。常時50〜60体、多い時には100体を超える遺体を預かっているという。
発表によると、今年1月9日、遺族側から「引き取った遺骨は実は他人の遺骨と入れ替わっているのではないか」と問い合わせがあり、社内調査を実施。問い合わせがあったのは、ステラ事業所が昨年6月9日、大阪府警河内長野署から当初身寄り不明として預かっていた遺体で、記録上は、河内長野市の依頼で、同年7月21日に火葬場へ送られたことになっていた。
しかし、実際に火葬場に送られたのは、同年6月15日に同じく大阪府警河内長野署から預かっていた身元不明の遺体だった。ステラ事業所内では、遺体を火葬場に送った同年7月21日の3〜4日後には、遺体の取り違えがあったことを把握していたが、それを隠ぺいし、同年9月2日に身元不明の遺体を出棺すべきところ、既にこの遺体は取り違えで火葬されていたため、問い合わせがあった遺体を火葬に出していたという。
この取り違えが判明した後、燦ホールディングスでは傘下の全社で社内調査を実施。その結果、ステラ事業所で14年2月1日に大阪府警西成署から預かった身元不明の遺体を、同年4月25日に同じく大阪府警西成署から預かっていた身元不明の遺体と取り違え、その後隠ぺいしていたことが判明したという。この取り違えがあった遺体2体については、現在も身元不明で、一定期間経過後に合祀されているという。
燦ホールディングスは調査の結果、他には遺体の取り違えはないとしており、遺体の取り違えがあった2件については、既に関係する自治体、警察署に報告しているという。また、別人の遺骨を渡された遺族に対しては、本人の遺骨が返還されるよう努めているという。
燦ホールディングスはこれを受け、今年1月16日から再発防止策を実施しており、古内耕太郎社長と当時の社長、役員2人の計4人を2カ月の減俸1割の処分にし、ステラ事業所の従業員とステラ事業所を管轄する部長1人については、社内規定に沿って処分したという。