現在進行中のシリア紛争とそれが生み出した深刻な人道危機の中にいるキリスト教徒たちは「忘れられている」と、(同国北部にある都市)アレッポの大司教がバチカン放送局とのインタビューで語った。
「私たちの人口の半分は離れていき、そして人々は極端な貧困のうちに暮らしている」と、メルキト・ギリシャ・カトリック・アレッポ大司教区の大司教であるジャン・クレマン・ジャンバール大司教は語った。
シリア最大の大司教区のこの大司教は、ジュネーブの国連でバチカン放送局の記者であるクリスチャン・ペスチケンに対し、戦争で引き裂かれたこの国の現在の状況について、とりわけこの地域にいるキリスト教徒たちへの影響について語った。
「エイド・トゥー・ザ・チャーチ・イン・ニード」(ACN)やコロンブス騎士会、そして国際カリタスといった組織を通じて、(カトリック)教会はできるだけの助けをしていると、ジャンバルト大司教は語った。
しかし、他の組織は、テントで暮らしている難民に援助物資を配るだけで、多くのキリスト教徒たちを支援のないままにしている。「彼らは共同の家にいたり、親戚の家にいたり、あるいは自分たちの家で抵抗し、アレッポに留まっている」
ジャンバルト大司教はとても困難な状況を耐え抜いているキリスト教徒たちをたたえた。「(彼らの)英雄的な態度や振る舞いについて喜ばなくてはならない」
「だからこそ、私たちは自らの助けをキリスト教徒たちに集中させているのだ。他者を排除するわけではないが、彼らが誰よりも多く助けられる必要がある人たちだからだ」と、同大司教は述べた。
「彼らは忘れられており、私たちは彼らが忘れられてほしくない」
このインタビューの後のほうで、ジャンバルト大司教は中東のキリスト教徒たちを助けるために教皇フランシスコによってなされている努力を認めた。同大司教は教皇とロシア正教会のキリル総主教の会見、そして中東で迫害されているキリスト教徒たちを代弁して訴えているその共同宣言について語った。
この共同宣言が「中東にいるキリスト教徒たちを助け、そしてこの国の絶望から彼らを救うため」のものであることから、この会見は「非常に重要」であったと、同大司教は語った。「毎日、何が起きているのか気がつきつつある人たちが増えており、そしてこの国にある危険は私たちの前にある」
なお、シリアではメルキト・ギリシャ・カトリック教会の他に、同国最大の教派である正教会のアンティオキア総主教庁のほか、シリア・カトリック教会、非カルケドン派のシリア正教会(ヤコブ派シリア教会、マランカラ正教シリア教会)やアルメニア使徒教会があり、キリスト教徒は同国の全人口の1割を構成している。