駐シリアバチカン(ローマ教皇庁)大使のマリオ・ゼナリ大司教は、「飢えと渇きを戦争の兵器として使うことは犯罪で、恥ずべきことです」と述べ、戦争の中で飢餓を「兵器」として使用することを非難した。
ゼナリ大司教はアジア・ニュースに対し、「各国の報道機関が今となってこのことを報じていることに、驚いています」と語った。「食料、ミルク、医薬品が満載のトラックが街のすぐ外に待っているのに、街の中の人々が餓死している場所があります」
今月、シリアの包囲されている街の一つマダヤが見出しに載った。バシャル・アサド大統領の政府軍が掌握するその街では、人口3万人が飢餓に苦しみ、援助団体は中に入れない状況だ。北部のイドリブ、フォア、ケフラヤ、ダマスカスに近いヤルムーク難民キャンプでも、同様の窮状となっている。
ゼナリ大司教は、「この状況は、対立の元となる根源を取り除くことで解決されなければなりません」と述べた上で、報道機関は「人道的な問題に対しもっと注意を払わなければならず、報道の問題は今日解決されなければなりません」と語った。
国連によると、シリアでは、人道支援団体が訪れることが困難な、戦闘の起きている地域に合計450万人が居住しており、うち15カ所の少なくとも40万人が包囲攻撃に遭っている。
ゼナリ大司教は輸送面での問題を認める一方、「すぐ外に食料や衣料品、またそれらを積んだトラックがあるにもかかわらず人々が餓死している状況には、何の言い訳もできません」と述べた。
シリアの危機が解決に至るまで、「国際的に認められた人権が保障され、尊重されなければなりません。人道問題として、飢え、そして渇きをも利用することは犯罪で恥ずべきことです。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も指摘した通りです」とゼナリ大司教。
首都からたった7マイル(約11キロ)のところにあるヤルムーク難民キャンプに住む人々は、マダヤと同じ規模の苦しみを受けており、武装勢力を撤退させようという2週間前の試みも失敗に終わっている。
ゼナリ大司教は、「幾つかの危険の状況を解決するために働いている」人々の努力を称賛し、「飢えと渇きを道具として利用することは許せません」と強調した。
また国連と国際赤十字・赤新月社連盟の「支援物資の到着を確実にするための、仲介人としての役割を負った着実で静かな働き」を称賛した。