3つの街で包囲されているシリア人が「極限的にひっ迫した」人道的危機に見舞われており、飢餓のゆえに犬・猫・草を食べ始めた者もいると赤十字国際委員会(ICRC)が警告した。
「市民が死んでいます。彼らは地面に落ちた食料を食べています。猫や犬を食べています」と、マダヤの反体制派支配下にある街にいる活動家がBBCニュースに語った。
この危機は政府が掌握しているフォアやカフライヤの街々にも波及しており、人々は生きるために草を食べざるを得ないとその記事では報道されている。
約5年前に勃発し、これまでに25万人が死亡したシリアの内戦は、アサド政権と多くのイスラム反体制派グループの間で続いている。
2014年に町や都市を制圧し始めた過激派組織「イスラム国」(IS)は、政権側と反体制側のどちらとも戦っており、米国が主導する連合軍は地域を空爆することで、ISを掃討しようと試みている。
国連と他の監視団体は、戦火の中で街を包囲されているシリア人がいることから、戦争であらゆる角度から大規模に人権が侵害されることを非難している。
ICRCは、その3つの街での人道的危機はさらに悪化しており、市民は食料や医療品の不足により死亡していると警告した。
冬が到来し、援助団体はシリア国内の街々にアプローチすることが困難になった。
ICRCのスポークスマン、パウェル・クシシェック氏は、最後に支援物資を無事に届けた際にマダヤを訪問し、状況が危機的になっていると語った。
「人々は、基本的な物資もなく生活しています。今となっては、状況はさらにひっ迫しています。冬が来たことによって明らかに状況は悪くなり、人々は絶望的なまでに、ストーブに火をつける物を得ようとしています。プラスチックを燃やし、呼吸器に問題を抱える人もいます」
被害者の人数や包囲された街に残された人々の人数にはさまざまな報告があるが、国連は40万人程度がシリア国内の戦火の激しい街で生活していると報告した。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は昨年12月に報告書を発表し、詳しい人数について説明した。
「(昨年)9月、ある包囲された地域において7800人に水と衛生設備を届け、衛生面での支援を行った。10月、包囲された複数の地域において1万500人に食料を届け、基本的な救援支援を行い、1万6700人に水と衛生設備を届け、衛生面での支援を行った。11月には、1077人の子どもに教科書を届け、50人の子どもに冬用の衣料を届けた」
国連人権理事会のシリア調査委員会は昨年7月、多くの人々が栄養不良と医薬品の不足、停電のために死亡したと報告した。
「基本的な必要を満たされることなく、狙撃手や爆撃に対する継続した恐怖のもとで閉じ込められているため、深刻な心的外傷と絶望が、包囲されたコミュニティーを覆っている」と報告書にはある。
街に閉じ込められている市民の中には、その状況を国際社会に発信しようとする者もいる。
モハメドさん(仮名、27)はAFP通信に対し、多くの人々が希望を失っていると語った。
「私たちはパンの味を忘れました。状況は非常に悲劇的になりました」とモハメドさん。
「食べるものはもうありません。ここ2日間、水以外のものは口にしていません」とモミナさん(32)。「ここには何もないので、助けが来るか来ないかを伝えてくれる人がほしいのです」