4日に発表された最新の調査研究から、米国の福音派クリスチャンの10人に約8人が、現在起こっている中東での暴力は、終わりの日が迫っていることの兆しだと認識していることが明らかになった。
この調査は、ブルッキングス研究所中東政策センターが米国内の成人875人と福音派クリスチャンを名乗る863人を対象に実施したもの。これによると、非福音派のクリスチャンで、中東地域のテロが黙示録の暗示だと捉えている人は43%にすぎなかった。
この結果を受けて行われたパネルディスカッションで、政治ニュースサイト「ポリティコ」のスーザン・グラッサー氏は、「これらの数字は、受け入れる人にとっては動機づけとなる。この動機づけの神学についてはとても印象的だ」と話した。
「実に実情を反映している数字もある」とグラッサー氏。「というのは、この調査で明らかになった、終わりの時が近いと信じている米国の福音派クリスチャンたちの割合は、世俗的な立場の人から見れば、目が飛び出そうなものだ」
調査によると、クリスチャンの72%、また福音派クリスチャンの81%が、キリストは究極的には戻ってくるが、それがいつかははっきり分からないと認識しており、クリスチャンの5%、福音派クリスチャンの12%が、キリストは自分が生きている間に戻ってくると信じている。
さらに、キリストが戻ってくると考える福音派クリスチャンの75%、クリスチャンの55%が、キリストが戻る前に「イスラエルで事が起こるべき」と考えている。
一方、福音派クリスチャンの63%、非福音派クリスチャンの51%が、「携挙や再臨が起こるには、現在のイスラエルが旧約聖書に出る聖書的なイスラエルとされたすべての地を領土に含むことが不可欠」と考えている。
過激派組織「イスラム国」(IS)は2月、イスラム教徒は、イエスがすべての反キリストをせん滅するために戻るまでに、すべての非イスラム教徒を斬首し続け、イスラム教が確実にすべての地を治めるようにすると主張した。パネルディスカッションでもそれと関連し、ISやスンニ派の終末論とキリスト教の終末論に重なるところがあるかとの質問があった。
グラッサー氏は、「そのような観点と、私たちの社会での多数派が評している観点とは、大きな違いがあります」と答えた。「キリスト教の終末論のレトリックと、ISの終末論のレトリックに類似点があるからというだけの話です。ISはシリアとイラクを侵攻し、その神学で自らを正当化しているだけで、意味のある類似点だとは私には思えません」
「あなたが最も称賛する世界の指導者」との質問に対しては、福音派クリスチャンの間ではイスラエルのネタニヤフ首相の名が最も多く挙がった。16%がネタニヤフ首相を挙げ、その次はロナルド・レーガン元米大統領が11%と続いた。
米国人の3人に2人が、イスラエルが米国の政治に「影響を及ぼしすぎている」と感じている一方、福音派クリスチャンの39%も同様に考えている。福音派クリスチャンの38%が、イスラエルが米国の政治に及ぼす影響は適切だと認識している。
米国人のうち、選挙立候補者のイスラエルに対する姿勢を「重視する」と答えた人は26%にすぎなかったが、福音派クリスチャンでは55%に上った。
調査を運営し、報告をまとめたブルッキングス研究所非常勤上級研究員のシブリー・テルハミ氏は、福音派クリスチャンがイスラエルやユダヤ人を常に支持しているわけではないと述べた。
「19世紀の話ではなく、20世紀以降の米国の福音主義の歴史をひもとくと、福音主義が拡大する基盤となったグループは、イスラエルに対して全く違った見方をしており、ユダヤ人に対しても肯定的な見方をしていません」とテルハミ氏。「大きく変化したのは、1960年代と70年代です。その時期は、福音主義のクリスチャンにとってイスラエルが重要なものとなった時期なのです」