英国国教会のダラム教区主教が、パリのテロ事件への反応として反イスラム感情を持たないよう警告した。
ダラム教区のポール・バトラー主教は、難民が故郷を捨てて逃げる理由となったその行動の責任を、当の難民にかぶせるときに起こる悲劇に着目した。
バトラー主教は、「先週金曜日にパリで起こった出来事は、深い悲しみをもたらしました。私は祈りとすべての人の自由のために立ち上がる決意をもって、パリとフランスの人々とともに立ちます。私たちはまた、同様の事件で43人が死亡した、バクダッドの人々とも共に立たなければなりません」
「当然のこととして、これらの襲撃事件が全く同じことを理由に故郷を捨てざるを得なくなった難民に対する敵意や、反イスラム感情を押し広げる理由となるべきではありません」と語った。
バトラー主教の言葉は、13日に過激派組織「イスラム国」(IS)が一連のテロ攻撃を行い、少なくとも129人が死亡したことを受けて発表された。
ダラムと北東イングランドでは16日午前11時(日本時間同日午後8時)、この悲劇を覚えて黙とうがささげられた。ダラム大聖堂は、事件のあったパリとの連帯を示すため、世界中で行われているように、建物をトリコロールにライトアップした。
バトラー主教は9月、北東イングランドに対し、現に起きている難民危機への英国の応答を主導するよう呼び掛けた。
「私たちも確かに、ヨーロッパへの脱出に対する応答として、私たちの役割を果たさなければなりません。政府が、地方議会が、共同体が、そして個人がみな、共にそれぞれの役割を果たす必要があります。教会や他の信仰の共同体は、絶望的な苦境に立たされている何千人もの人々に対し、歓迎し、庇護(ひご)し、支援する役割を果たすべきです」
「このような人道的な応答は、非常に複雑化した長期的な課題を解決することはできないでしょう。しかし、私たちと同様愛されている人々への、適切な応答です」