フランスの首都パリで13日夜(日本時間14日早朝)、劇場やサッカー場など計6カ所で銃の乱射や爆発があった同時多発テロで、過激派組織「イスラム国」(IS)が14日、犯行声明を出した。このテロではこれまでに127人が死亡し、負傷者は250人を超えている。教皇フランシスコはテロを受け、犠牲者やその家族、フランス国民に向け哀悼の意を示した。
報道によると、ISが発表した声明は「ISフランス」の名義で出され、自爆ベルトと銃でパリを攻撃したとしている。形式はISが出す通常の犯行声明のものと同じで、アラビア語、フランス語、英語の3カ国語で書かれているという。フランスのフランソワ・オランド大統領も14日の演説で、テロがISによるものだと断定した。
バチカン放送局によると、パリ大司教のアンドレ・バン・トロワ枢機卿に宛てた電報で、教皇フランシスコは、犠牲者とその家族、またテロのために緊急に対応している人々と、祈りのうちに連帯していると伝えた。電報は、バチカン国務長官のピエトロ・パロリン枢機卿の名義で出され、今回のテロばかりではなく、あらゆる暴力を非難するとともに、神に平和と連帯の思いを起こさせてくださるよう求めている。
このテロを受け、フランスでは国家非常事態宣言が出され、オランド大統領は国境の閉鎖を命じている。15日からトルコで開かれる予定の主要20カ国・地域(G20)首脳会議への出席も取りやめた。
フランスは、シリアで対ISの空爆作戦を行っており、今回出された声明はテロが空爆への報復だとしている。AFP通信によると、テロの現場の一つで、これまでに最大の犠牲者を出しているパリ中心部のバタクラン劇場では、実行犯の1人がフランス軍の空爆を非難する発言をしていたという。
バタクラン劇場は約1500人収容可能な広さがあり、当時は米ロックバンドのコンサートが行われ、多くの観客がいたという。これまでに80人以上の死亡が確認されている。報道によると、実行犯はまず劇場近くのカフェで銃を乱射し、その後劇場に侵入。銃を乱射したり、爆発物を投げ付けたりした。一部の観客を人質に取って立てこもったが、治安部隊が突入し、実行犯は射殺されるか自爆で死亡した。
一方、当時フランス代表とドイツ代表によるサッカーの親善試合が行われていたパリ郊外のサッカー場「スタッド・ド・フランス」では、近くで爆発3件が起きた。この試合は約8万人が観戦しており、オランド大統領とドイツのフランク・ワルター・シュタインマイヤー外相もいた。
バタクラン劇場は、今年1月に12人が死亡した風刺週刊紙「シャルリー・エブド」の事務所から約500メートルの距離にあった。フランスでは1月のテロ以来、全土で最高レベルの警戒態勢が引かれていたという。