過激派組織「イスラム国」(IS)が包囲を続けるシリアの街デリゾールで、少なくとも12万人が飢餓にさらされていると、カトリック教会の大司教が警告した。
シリア東部にあるデリゾールでは、2011年の内戦の勃発以降、IS、シリア政府軍、自由シリア軍などの武装勢力が戦闘を続けている。現在はISが地域の広範囲を掌握しているが、政府軍が掌握している地域もまだ残っている。
シリアのハサカ教区、ニシビ教区のジャック・ベナン・ヒンド大司教は、ISがラッカが陥落する可能性を恐れ、デリゾールを新たに支配することを計画している可能性があると述べた。ヒンド大司教はカトリックのフィデス通信に対し、現在まで1年以上にわたり、「聖戦主義者たちは、食料を持ち込まないことで包囲を強めてきました」と語った。
「まだ見つけることのできるトマト、イワシの缶詰、茶葉などの少数の品物は、闇市で10倍以上の値で売られています」
大司教は、内戦が始まる前には約千人のキリスト教徒がデリゾールに住んでいたと述べた。今となっては1人しかいない。
今月、ISの戦闘員は市民300人を殺害し、シリア政府によって非難された。犠牲者の多くは高齢者、女性、子どもだった。そしてその多くが斬首されたという報告もある。
今月国連は、デリゾールの厳しい食糧危機と激しい衰退について警告した。未確認の報告によると、昨年、デリゾールでは子ども4人を含む15~20人が餓死している。そして住民は、毎週3時間分の水しか供給されないという。
その報告によると、包囲されている住民のうちおよそ70パーセントが女性と子どもだ。その多くは、家を追われて臨時のシェルターに住んでいる。