神戸市長田区の自宅で硫化水素を発生させ、夫(32)を殺害しようとしたとして、妻の吉田斐香(あやか)容疑者(32)が16日、殺人未遂容疑で逮捕された。産経新聞などが伝えた。
同紙や毎日新聞によると、吉田容疑者は昨年12月13日未明、当時住んでいた神戸市長田区の自宅の脱衣所で、市販の洗剤などを混ぜて硫化水素を発生させ、隣の風呂場で入浴していた夫を殺害しようとした疑いが持たれている。吉田容疑者は容疑を否認しているという。
夫は当時、意識不明の状態で病院へ搬送された。吉田容疑者自らが119番通報したが、通報は硫化水素の発生から約2時間後に遅らせていたという。また、「夫が自殺を図ったかもしれない」などと話し、自殺に見せかけようとしていた可能性があるという。
現場の状況や、夫に自殺する動機が見当たらなかったことから、警察が捜査していた。警察は、吉田容疑者と夫の間にトラブルがあったとみて、調べを進める方針。一方、夫は現在、回復しており、同居していた子ども3人にもけがはなかったという。
硫化水素は卵の腐ったような刺激臭が特徴の有毒ガスで、吸った場合、頭痛や吐き気、呼吸困難などの中毒症状が出る。高濃度の場合は、数回吸っただけで失神し、即死するという。複数の洗剤や入浴剤などを混ぜ合わせて発生させることができ、自殺や事故などが相次いだ数年前には、日本薬剤師会が、該当の商品を大量に購入する人がいた場合、注意するよう呼び掛けていたことがある。