【CJC=東京】教皇フランシスコがインターネット世界の「大物」と相次ぎ会見している。各方面の指導者が教皇と会見することは珍しいことではないが、1月15日には、ネット検索の大手グーグル会長を長く務め、今では親会社アルファベット会長のエリック・シュミット氏と会見した。しかもその1週間後の22日にはアップルの最高経営責任者ティム・クック氏と会見した。これが何を意味しているのか、観測筋の好奇心をかき立てている。
教皇は、ネットの技術的なことに関しては「ダイノザウルス」(時代遅れ)と決め込んではいるが、「ネットは神からの贈り物」と呼ぶほどに力を入れている。実際には教皇が自ら打ち込んでいるわけではないが、とにかく目を通して発信しているツイッターは、2013年10月にはフォロワーが1千万人を超えたほど。機会があれば携帯電話などの「自撮り」にも喜んで応じている。
カトリック教会の取り組むべき課題の一つとして、青年層に働き掛け、彼らを力づけたいと教皇が考えていることは明らか。そこにインターネットを活用したい、と願っていることも明らかだ。インターネットの善悪を決めつけるのではなく、善悪いずれのために利用するかは個人に委ねられている、というのが教皇の姿勢と見られる。
それでも今回の「大物」2人との相次ぐ会見には、すでに大きな計画が動き出しているのではないか、との推測を否定できない。2人が教皇と会見したといっても、時間は10分から20分程度のもので、そこで実質的な協議が行われたのではなく、合意に達したことの最終確認のために行われたと見る方が自然だろう。特に技術的なことは脇に置いて、教皇がある種の確信を持ったのは明らかなようだ。
アップルのティム・クック氏は、資産を慈善活動に投じることを明らかにしており、グーグルのエリック・シュミット氏は自らの基金をエネルギーの持続的利用のために拠出している。さらにクック氏のバチカン訪問直前にアップルは、アプリケーション開発センターをイタリアに開設することを明らかにした。南イタリアのナポリが候補地とされているが、南イタリアはマフィアなど組織犯罪集団の拠点でもあり、カトリック教会も対策に手を焼いている所だけに、注目される。