生命や宇宙は、何らかの知的なデザイナーによって創られたという理論を「インテリジェント・デザイン」という。米合同メソジスト教会は、今年の総会でインテリジェント・デザインを推奨する団体「ディスカバリー研究所」が情報ブースを開設することを拒否した。
合同メソジスト教会の広報担当ダイアン・デグナン氏は、米クリスチャンポストの取材に対し、「ディスカバリー研究所の応募は、出展者のためのガイドラインを満たしておらず、プログラムの目的と一致していないと、委員会は判断しました」と語った。
「出展コーナーは、アイデアを調査したり試みたりするための機会を提供する場ではなく、商品やサービス、また信頼できると証明されているリソースを、地元の教会のミニストリーの助けとなるよう提供する場です。そして、ディスカバリー研究所の主張は、これが私たちの社会的原則に則っていないというものです」
合同メソジスト教会の公式見解では、進化論・創造論論争では進化論を支持しており、同教会のウェブサイトでは、関連するリンクが示されている。
同教会では2008年、公教育を含み、インテリジェント・デザインや、若い地球説(創世記にある記述の通り、紀元前数千年前から1万年前の間に、24時間6日間で世界が創造されたとする説。創造論の一つ)などの考えを持つことへのいかなる努力も反対とする決議がなされた。決議には、「合同メソジスト教会の総会では、創造論やインテリジェント・デザインなどの、信仰が土台となる理論の導入を公立学校の理科のカリキュラムに取り入れることに反対する立場をはっきり取っている」とある。
ディスカバリー研究所は昨年10月、総会で情報ブースの設営ができないかどうか、合同メソジスト教会に尋ねた。ディスカバリー研究所の副社長、ジョン・G・ウェスト氏は、総会での情報ブース設営を望む理由について語った。
「われわれは非営利の教育・研究組織であり、さまざまな会議やイベントで、情報ブースを設営してきました。合同メソジスト教会で私たちの研究所のスタッフでもある人が、合同メソジスト教会の総会は、今年オレゴン州ポートランドで開催されるということを教えてくれました。そしてそこは、私たちのシアトルにある本社からたった2、3時間の距離にあったのです」
委員会は昨年12月、同研究所からの応募を拒否し、今月14日に決定を再確認した。伝えられるところによれば、2008年の採択を参照して、理由を正当化したという。
ウェスト氏は、この理由付けは「とんでもないこと」と話す。実際には、同団体が「公立学校の理科の授業にインテリジェント・デザインを導入することに賛成しない」と主張しているのに対し、これではむしろ「学生たちは、現代のダーウィン理論の科学的な強さと弱さについて学ぶべきである」というふうに考えていることになってしまうと語った。
「さらに重要なことには、私たちの情報ブースは、公立学校の政策に焦点を当てたものではなく、科学と信仰を扱ったリソースについてでした。彼らが提示した決議の中には、合同メソジスト教会はインテリジェント・デザインを信じられないし、それについて話し合う余地もないといったものはありませんでした」とウェスト氏。
「私が指摘したいのは、合同メソジスト教会のスローガンが『開かれた心、開かれた思考、開かれた扉』であり、また同教会リーダーたちは、開かれた対話に賛成であると主張しています。しかし、情報ブースの設営さえも断られるとなると、これでは心が開いているというようには思えません。極めて心は閉ざされています」