えん罪による48年の拘禁生活から解き放たれた袴田巖さんを描いた映画『袴田巖 夢の間の世の中』が、2月27日(土)よりポレポレ東中野(東京都中野区)などで上映される。
『主よ、いつまでですか 無実の死刑囚・袴田巖・獄中書簡』(新教出版社、1992年)の著者でもある袴田さん。彼を支援する教会関係者の間では、獄中で洗礼を受けたカトリック信徒としても知られてきた。
しかしこの映画は、「袴田巖さんの48年ぶりの暮らしに寄り添い、生きることの尊さを静かに語り掛けていく」という。
2014年3月27日、「重要な証拠が捜査機関によってねつ造された疑いがある」「これ以上拘置を続けることは耐え難いほど正義に反する」として、袴田さんは即日釈放された。「袴田事件再審決定」がその日のトップニュースで報じられたが、検察側が即時抗告したため、袴田さんは今も死刑囚のままだ。
「袴田事件は終わった、えん罪もない、死刑制度も廃止した・・・」そう語る袴田さん。ある時は警視庁総監になり、ある時は裁判長になり、ある時は松尾芭蕉になる・・・。この映画では、長い拘禁生活による袴田さんの「妄想の世界」を、日常という「現実の世界」がゆっくりと包み込んでいく。
布団で寝る、買い物に行く、好物のあんぱんを食べる、ゆっくりお風呂に入る、テレビを見る、将棋を指す、うたた寝をする、怒る、笑う・・・。「平凡で当たり前のことが、本当は誰にとっても特別なことなのかもしれない」と、監督の金聖雄(キム・ソンウン)さんは言う。
袴田さんの姉、秀子さんは、この映画のチラシの中で「巖のあるがままの姿を見てほしい」と述べている。
特別鑑賞券(前売券)や上映予定などの詳細は、この映画の公式サイトで。
■ 映画「袴田巖」プロジェクト プロモーション動画