日本人最初の救世軍士官として日本救世軍の創設発展に尽力し、終生にわたり社会福祉事業に身をささげた山室軍平。社会に対して強いメッセージを訴える映画作品を世に送り続ける現代ぷろだくしょんがこのほど、山室軍平の生涯を描いた映画『母の願い~地の塩「山室軍平」』(仮題)の製作を発表した。
現代ぷろだくしょんはこれまで、福祉という言葉がまだ存在しない時代に、愛と奉仕の心で「地の塩」として生きてきた、日本を代表する福祉家、石井十次、石井亮一と筆子夫妻、留岡幸助の生涯を映画化し、多方面から高い評価を受けた。今回の映画もこれらに続く作品で、岡山県に生まれた幼少時代からの山室軍平の生涯を、ドラマも織り交ぜたドキュメンタリーで描く。
山室軍平は、娼妓自由廃業運動を皮切りに、社会募金鍋(歳末慈善鍋)など各種の救済活動、結核療養所の設立、失業者の職業あっせん、免囚保護事業など、先駆的に社会福祉事業を展開していった。しかし、決して強い人間ではなく、涙もろく、母や友人の多くの愛に支えられ、その愛に感謝しながら生涯を終えた人物でもあった。映画では、キリスト教徒である山室軍平が、他の人々の幸福のために自分は何ができるのかと模索しながら、生きる意味を見いだそうとする姿にも光を当て、山室軍平の人生に共感してもらえるような作品を目指している。
製作は、『はだしのゲン』『春男の翔んだ空』『死線を越えて 賀川豊彦物語』など数多くの映画を製作・公開し、2010年には日本映画テレビプロデューサー協会功労賞、11年には児童福祉文化賞を受賞した山田火砂子氏。監督は、2006年に異色のシチュエーション・ミステリーとして話題を呼んだ『9/10 ジュウブンノキュウ』で監督デビューした東條政利氏が務める。
今回の映画化に当たり、救世軍司令官の勝地次郎氏は、山室軍平が残した優れた説教の一つ「母の愛」を挙げ、「山室が生涯をささげた社会福祉活動の原点にあったのは、この『母の愛』に象徴される神の愛であり、彼の生涯を貫いていたのは、貧しき者、小さき者への愛でした。民衆の友として聖書を誰にでも分かるように説き、愛の実践に務めた山室の生涯は、地の塩として生きるとは何かを指し示しています。この映画の完成を心から期待しています」と推薦の言葉を寄せている。
映画『母の願い~地の塩「山室軍平」』は、2016年4月から撮影が始まり、秋には公開を予定している。現在、一日も早い映画の完成を目指して、製作協力券の購入または映画賛助金による製作資金の協力を呼び掛けている。支援の詳細についてはこちら(PDF)。