織田信長の父・信秀(1510〜51)の菩提寺として知られる「桃巌(とうがん)寺」(名古屋市千種=ちくさ=区)の男性住職(91)と同居女性(68)が、寺の土地売却代から約1億5千万円を流用し、宝石購入代などに充てていた疑いがあることが、19日までに分かった。国内各紙が伝えた。
中日新聞によると、桃巌寺は2013年、境内の整備費捻出のため所有地2カ所を約2億円で売却。その後、同居女性が桃巌寺の預金口座から、宝石などの購入のために金を引き出し、総額が約1億5千万円に上ったという。昨年秋から国税局が税務調査を行い、この約1億5千万円を住職の給与とみなし、給与にかかかる所得税の源泉徴収を免れたと認定。追徴課税は重加算税を含め約7千万円に上り、既に納税している模様だという。
住職と女性は、桃巌寺の関係者に対し流用を否定しているが、土地の売却代が境内の整備費に使われた形跡はなく、桃巌寺は女性に対して刑事告訴も検討しているという。
同紙によると、女性は12年前から住職と同居し、住職は介護が必要な状態であったため、女性が預金通帳や印鑑を管理していた。
名古屋市のホームページによると、桃巌寺は、織田信長の父である信秀の菩提寺として、信長の弟である二男・信行が建立した。「ねむり弁天」が有名で、本堂には直径1メートルの日本一大きな木魚がある。また、境内には、信秀の墓と座高10メートルの青銅製の名古屋大仏や珍しい四方竹などがある。約450〜460年前に建立され、現在の千種区四谷通2−16には、正徳2〜4(1712〜14)年ごろに移転したとされている。