英イングランド北部で最近行われたシンポジウムで、「多宗教世界におけるキリスト者の証し:信仰の実践のための提言」という文書に関する考察が行われ、伝道と改宗の倫理についてさらに体系的で学問的な研究を行うよう強い提案が出された。世界教会協議会(WCC)が9月25日、公式サイトで伝えた。
この文書は、キリスト者の証しに関する実践を扱った画期的な文書で、2011年に、WCCと世界福音同盟(WEA)、ローマ教皇庁諸宗教間対話評議会(PCID)が5年間の働きを経て発表したもの。
9月16日に開かれたこのシンポジウムは、英リーズトリニティ大学が主催した。WCC宣教・伝道委員会の元副議長で、神学と世界のキリスト教が専門のキルスティーン・キム同大教授がこれを指導した。
キム教授はシンポジウムの導入で、「社会の結合に対する脅威や、伝道の倫理、改宗に対する呼び掛けは、学問において値するだけの注目をされてこなかった。宗教間対話の神学と哲学や、植民地時代後のキリスト教宣教と伝道に関する再考の展開の背景に、依然として議論のある問題が残っている」と述べた。
一方、諸宗教間の対話と協力を担当するWCCプログラム部長のペニエル・ラジクマール博士は、「伝道と改宗の現在の眺望は、急進的な過渡的状況にあり、信教の自由、人間の尊厳、共同体の結合や個人の自立などといったさまざまな問題を含んでいる」と指摘。「宗教と政治の機会主義的な同盟関係は、今日、未曽有の形で、伝道や改宗と衝突している」と語った。ラジクマール博士はまた、さらなる研究の可能性を考察し、世界的な文脈が劇的な変化を経験する中で、「一般に仮定され、暗黙のうちに取り入れられている伝道と改宗についての観念の微妙な再考」が不可欠だと語った。
そして、「このテーマについてのさらなる研究が持つ強さは、このテーマの境界線の移り変わりを特定することだけにあるのではなく、これらの境界線にある裂け目に宿る問題を探求することにもあるだろう。WCCは、現在この『キリスト者の証し』という文書の適切な受容と考察の過程に関する活動を行っており、興味と熱意をもってこの分野に注視していくだろう」と付け加えた。
このシンポジウムでは、英国内から、バーミンガム大学のジョージ・クリサイデス博士、ダラム大学のガビン・ウェイクフィールド博士、カトリック・リーズ教区のパトリック・A・スミス司祭、リーズトリニティ大学のスザンヌ・オーウェン博士、ヨークセントジョン大学のセバスチャン・C・H・キム教授、そしてリーズトリニティ大学のアン・マリー・ミアリー博士が発題した。