長野県の車山高原にあるコーナーストーン車山断食祈祷院(同県茅野市)。今年8月には併設する日本ペンテコステ教団コーナーストーンチャーチの開所式が行われた。式では、同教団代表で生駒聖書学院(奈良県生駒市)学院長の榮義之牧師が、イザヤ書54章から「天幕の場所を広げよ」と力強くメッセージを伝えた。開所宣言の後には、祈祷院と共に同教会が「福音伝道の前線基地」となるよう、式に参加した関係者ら約40人が心を合わせて祈った。
車山断食祈祷院は、今年3月に生駒聖書学院を卒業し伝道師となった佐々木学・摂子夫妻が建てた超教派の祈祷院。3月から準備を進め、4月末にオープンした。車山高原は、空気と水がおいしい自然豊かな地。緑が生い茂る8月に行われたコーナーストーンチャーチの開所式には、遠方からも教団関係者が訪れた。礼拝の恵みと共に、美しい自然の恵みも参加者に味わってほしかったと佐々木氏は話す。実際、開所式の当日は高い青空から白樺林に光が差し込み、澄んだ空気の中で礼拝が行われたという。
クリスチャン以外の人々に福音を広げる目的をもって始められた車山断食祈祷院。ダイエットやアンチエイジングなどで注目を集める「断食道場」の別名も持っており、クリスチャンではなくても気軽に利用できるようになっている。一般の断食道場と違い、毎朝礼拝が行われるが、参加は必須ではない。しかし、ほとんどの人が興味から出席し、中には恵みを受けて、既にクリスチャンになった人もいるという。佐々木氏は、「ここは合宿場のような所なので、皆の心が一つになりやすい。生活を共にすることで、福音に対する誤解がどんどん解け、それを見ていくのが面白い」と話す。
今年3月に生駒聖書学院を卒業すると同時に結婚し、そのまま開拓伝道に出た佐々木氏が、すぐに断食祈祷院を立ち上げたのには理由がある。昨年、大病を患った佐々木氏は、断食して祈る中で病が癒やされる体験をした。その体験から、「食を断って祈りに集中することで、人々に神様の恵みを伝えることができるのではないか」と思ったという。
佐々木氏は、この癒やしの体験について、「あなたがたは、恵みにより、信仰によって救われました。このことは、自らの力によるのではなく、神の賜物(たまもの)です」(エフェソ2:8)という御言葉を挙げる。「病が癒やされたのは、私が努力したからとか、強く念じて祈ったからではなく、神の恵みによるものです」と佐々木氏。断食の祈りを通して、神に愛されていることを知り、「神は祈りを聞いてくださる」とあらためて確信したという。
この体験から、卒業後に断食を用いた伝道をすることを決めた。当初は全く資金がなかったが、在学中に必要な資金が備えられ、契約にこぎつけた。このように祈祷院を立ち上げ、現在に至っていることは神の祝福以外には考えられないと話す。
一方、教会にも祈祷院にも付けられた「コーナーストーン」の名前は、聖書の一節「家を建てる者の捨てた石、これが隅の親石となった」(ルカ20:17)に由来する。イエスが土台となっているこの祈祷院の利用者は皆、主と深く交わり、車山高原の大自然を満喫し、元気になって帰っていくそうだ。
2005年に経営していた会社が倒産し何もかも失った佐々木氏は、「全世界に行って、すべて造られたものに福音を宣(の)べ伝えなさい」(マルコ16:15)という御言葉が頭から離れなかったという。また、「富を得ようとして労するな / 分別をもって、やめておくがよい」(箴言23:4)の御言葉が与えられ、これまで富を得ようとしてひた走ってきた人生が間違っていたことを知り、これからの人生は神に仕え、福音を宣べ伝え、人の役に立つ人生を歩みたいと願い、祈りの中で献身を決意したという。
生駒聖書学院卒業後、開拓伝道を始めてからまだ1年もたたないが、心身ともに疲れ果てている人たちの多さに驚いていると佐々木氏は話す。「主イエス・キリストの愛を知り、信じて歩む人生は希望に満ち溢れています。絶望は希望に変わります」と、ローマの信徒への手紙5章5節を通して語り、「主イエス様が私たちにしてくださったように、祈祷院において、霊・心・体の健康のために共に祈り、寄り添っていきたい」と熱い思いを語った。
料金は、断食回復食込みで完全個室一泊5400円(税込)。子ども連れも大歓迎(未就学児無料)だという。詳しくは、同祈祷院(電話:0266・55・2530、ファックス:0266・55・5319、ホームページ、フェイスブック)まで。