安全保障関連法案に反対するキリスト教主義大学有志の声明が続いている。
「安保関連法案に反対する被災三県大学教員有志の会」は7月31日、「知識と良識の『否決』を許さない」と題する声明を発表した。これには、キリスト教主義の大学でいずれも宮城県にある東北学院大学、仙台白百合女子大学、宮城学院女子大学、尚絅(しょうけい)学院大学の教員有志を含む103人が呼び掛け人として署名している。同会は22日(土)午後2時から5時まで、せんだいメディアテーク(仙台市)でシンポジウム「失われるものは何か、犠牲になるのは誰か 安保関連法案について被災地から考える」を開催し、安保法案の問題点や被災地から声を上げることの意味について話し合うという。
また、カトリックの聖心侍女修道会を設立母体とする清泉女子大学(東京都)の有志の会も6日、安保法案の強行採決に抗議し、廃案を求める声明を発表した。同大有志の会はこの法案について、「ほとんどの憲法学者が違憲であるとの見解を表明し、また大多数の国民も憲法違反であると考えていることが各種の世論調査で明らかになっています」と述べ、「審議の手続き上の問題点が指摘されているにもかかわらず、それらを無視して行われた強行採決は、法治国家としてのシステムを破壊し、立憲主義・民主主義の存続を危うくする暴挙と言わざるをえません」と強く批判。「現政権の政治手法に対して強い懸念を覚えます」と表明している。
28人の呼び掛け人と共に、教職員や学生、卒業生、その他の関係者ら101人が賛同者として著名し、名前を公表していない賛同者49人も含め、13日現在で計178人が声明に賛同している。
さらに、関西学院大学(兵庫県)の有志も10日、安保法案に反対する声明を発表した。声明は、「関西学院が創立された1889年は、近代日本の進路を決定する大きな分岐点となる年でした」と述べ、この年に大日本帝国憲法が制定されたと説明。「しかし、帝国憲法発布を前後して、国粋主義が台頭し、自由民権運動は抑えられ、富国強兵政策による戦争への準備が進められました」などと、当時の時代背景に言及している。
そして、「関西学院は軍国主義とファシズムが席捲(せっけん)する中、1940年にべーツ院長が、院長、学長職を辞任、同年、すべての外国人宣教師教授が帰国を余儀なくされました。1943年には、学生の徴兵延期の特典が撤廃され、関学生の大部分が徴兵検査を受け、『学徒出陣』として死地に動員されて行きました。戦死者は学院全体で218人と報告されています」と、戦時中における同学院の歴史を述べている。
その上で、「戦後70年間、日本は戦争をせずに、他国を攻撃することもありませんでした」とし、それを可能にしたのは、日本が平和憲法を持ち、憲法9条を保持していることが一つの要因だと指摘。9条は日本の憲法であると同時に、近隣諸国の人々にとっても、自らの平和と「いのち」を保障してくれる、非暴力型安全保障ともいえる存在だと述べている。
声明には、呼び掛け人として、井上琢智前学長や山内一郎前院長・元理事長、武田建元学長・元理事長ら、48人が署名している。
なお、安保法案に反対する声明を出したキリスト教主義大学の教員有志も加わっている「安全保障関連法案に反対する学者の会」は、26日(水)午後12時半から、「100大学有志共同行動」を行う予定。同会はこの共同行動で、午後1時から2時までガーデンシティ永田町で合同記者会見、2時半から参議院議員会館で参議院議員への安保法案廃案要請、4時から弁護士会館で日本弁護士連合会(日弁連)との合同記者会見を行い、その後、6時から日比谷野外音楽堂で行われる日弁連主催の集会とパレードに参加するという。