16日午後2時過ぎに衆議院本会議で安保法案が可決されたことを受けて、「平和を実現するキリスト者ネット」(キリスト者平和ネット=東京都文京区)などを含む平和運動団体や労働組合などの約2000人(主催者発表)が、国会正門前で抗議デモを行い、「満身の怒り」を込めて「強行採決断固糾弾!」「戦争法案絶対反対!」などと非難した(=写真①)。
このデモを主催している「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動」 は、16日以降もほぼ連日、国会正門前などで安保法案に反対する大規模な集会を予定している。同団体などは15日夜に「自由と民主主義のための学生緊急行動」(SEALDs)と共に10万人規模の抗議集会を国会正門周辺で行い、現場は「安倍は辞めろ!」「勝手に決めるな!」「憲法守れ!」などと、安倍政権に対する大きな怒りの声が渦巻いていた(=写真②)。
16日午後、国会正門前のデモに参加していたキリスト者平和ネット会員の目黒恵子さん(57、日本イエス・キリスト教団東京若枝教会員=写真③)は、衆議院本会議での可決後、本紙に対し、「私たちは(法案を)廃案にするために参加している。私たちの根底には祈りがあり、祈りを土台として行動している。今回の(法案可決という)結果は反対運動をしている人たちと逆行しているけれども、そこに何らかの神様の意図があり、そこに希望がある。逆の結果に暴走しているのは人間が起こしていること。それ以外のところで(神の)御業が働くことを確信しているので、この結果で悲観したり絶望したりすることはない」と話した。
また、国際基督教大学(ICU)客員教授で憲法学が専門の稲正樹氏(日本基督教団所沢みくに教会員)は本紙に対し、「衆議院本会議におけるいわゆる『安保関連法案』の可決は、問題点の解明とは程遠い審議状況の中で、対米公約を優先させ、国民に対して疑問点を丁寧に説明する姿勢をまったく示さないなかで行われました。衆議院特別委員会での強行採決後、国会前に集まった多くの若者から『勝手に決めるな!』という声が上がっていたのは、為政者は国民に向き合ってキチンと説明するべきだという怒りの声です」とメールでコメントした。
稲氏はさらに、「『安保関連法案(=戦争法案)』は、「専守防衛」を捨て、戦争しない国と決別し、自衛隊を世界の戦場に出していくものです。これは、『専守防衛』を建前としてきた自衛隊の“合憲論”そのものが、崩れることを意味します。今日の採決によって、立憲主義・平和主義・民主主義が踏みにじられました」と続けて述べた。
また、「しかしながら私たち国民が、この国の進むべき道を決めましょう。法案の問題点を徹底的に明らかにし、国民的議論を巻き起こしながら、『安保関連法案(=戦争法案)』を廃案に追い込みましょう。イザヤ書2章4節の聖書の言葉に固く立って、平和憲法のプロジェクトを次の世代に継承しましょう。この夏をポイント・オブ・ノーリターン(帰還不能点)にしてはなりません」と訴え掛けた。